/ Same ( Spindizzy/Big Pink / 1972 )
韓国Big Pinkからこんなものまで出た。Jerry Williamsのソロ名義としては初めてのアルバムだ。韓国と日本、アメリカの文化的植民地だったアジアの二つの小国では、本国でも忘れ去られている音盤を蘇らせようとする欲望と使命感があるようだ。
さて、商業的成功ということで言うと、Eric Claptonの”Forever Man”や”Pretending”、サタデーナイト・ライブでの演奏が印象に残っている”No Alibis”、そしてUnpluggedでの演奏が忘れられない”Running On Faith”などのヒット曲をもたらしたライターとして評価されている彼。Bonnie Raittの『Nick Of Time』にも曲を書いていた。また、70年代の作品は、Epicといった大のメジャーでリリースされたものも含めてスワンプ・ロックの佳作としていまだに評価は高い。キャリアの初期にはジミヘンと共にLittle Richardsのバンドに加わってもいる。
さて、この盤だけれど、まだまだ自作曲に混じって、The Drifetrsの”On Broadway”やProcol Harumの”A Whiter Shade Of Pale”、さらにDylanの”Just Like A Woman”(コレはかなり力が入ったボーカルで良い!)のスワンプ解釈版を入れていたりと、オリジナリティを模索していたことが伺える仕上がり。声もひしゃげたアーシーな代物で、当時のSSWと比しても曲によっては弱いと言わざるを得ない。しかししかし、そこはこの人なりの味で勝負、ということで、Nicky Hopkinsのピアノ1本をバックに切々と歌われる”Words”なんて、ぐいぐいと引き込まれてしまう引力を持つ。スタンダードの“Love Letters”も渋い仕上がり。
“Running On Faith”の自演なんかを含む『Peacemaker』もEric Claptonも友情参加した好盤だが、90年代という時代を反映した音になっている。嫌いではないけれど。