いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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 Julian Lennon & James Scott Cook

markrock2010-01-24

/ Lucy ( 2009 )


ジュリアン・レノンの新曲。待望。内省的な感触のある『Photograph Smile』(1998)が余りに素晴らしい作品で、長らく聴き込んで来たけれど、新作は音沙汰無いまま10年以上が過ぎ。前作にも同名異曲”Don’t Let Me Down”があったり、冒頭曲がバッドフィンガーと同名異曲な”Day After Day”だったり、いつでもジョン・レノン及びビートルズを利用してる、みたいな悪意を持った批評もなされることがあるようだけれど、ジョンの先妻シンシアとジョンの間のれっきとした子供で、ジョンがシンシアの元を去った後、ポールに”Hey Jude”と慰められたその人なのだから、運命からは逃れられないんだと思う。しかも、何の因果かミュージシャンになり、ショーン以上に顔や声まで似ていると言うんだから…


で、本作もまたジョン絡みか、と怒られそうな作”Lucy”。内ジャケの”The Story Of Lucyを読んでみると、もちろんコレ、あの名曲”Lucy In The Sky With Diamonds”と関係している。ジュリアンが小さい頃に学校のルーシーという女の子の絵を描き、ジョンが「何の絵だい?」と尋ねた所、”Lucy In The Sky With Diamonds”と答えたと言う有名なエピソード。その絵もブックレットに挟み込まれていて。


その後、ジュリアンが大人になって、そのルーシーと久々に連絡を取ろうと考えたようなのだが、なんと彼女、LUPUS(狼瘡)という病に侵されていた…


そして遂にこの時が訪れる。それはジュリアンがジェイムス・スコット・クックと皮肉にも”Lucy”という曲をレコーディングしている時だった。ルーシーの死を知らされるのだ。


詩を書き換えた二人は、デュエットで楽曲をレコーディングし、Lupus研究のチャリティに当てようと考えた。それが本盤。しかししかし、驚くべきは、ジェイムスの祖母もLupusに侵されていて、名前がルーシーだったというのだから…なんと言う偶然だろう。


このEPは”Lucy”のスタジオ・ヴァージョンとアクースティック・ヴァージョンがそれぞれ収録されている。病を吹き飛ばすような明るくポップな仕上がり(でも切なさを感じさせるのはジョン直系のジュリアンの声)になっている。


さらにジェイムスとジュリアンの新曲が1曲ずつ。(”Sober”と”Beautiful”)ジェイムスの”Sober”はメロディアスなポップ・ロックな仕上がりで悪くは無いが凡庸。ジュリアンの方はピアノ主体のかみしめるバラードでこちらがヤハリ良かった。フルアルバムの新作が楽しみだ。