いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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尾藤イサオ 

markrock2010-01-09

/ オマージュ・オム ( SUR RECORDS / 2009 )


最近BS-1”世界のドキュメンタリー”でピーター・バラカン解説でアメリカの黒人音楽の歴史を辿る英BBC制作ドキュメンタリー(2005年)を流している。”ソウル・ディープ”ってシリーズ。コレ、結構面白いです。音楽ファンにとっては知られている有名なエピソードばかりなんだけど、勉強になることも多くて。


さて、今日のピックアップは全然マクラと関係ないけれど、尾藤イサオ。尾藤さんというとしばらく前だと“夜もヒッパレ”なんて番組で、シャウトしている元気オヤジっぷりを見せ付けてくれた人。シンガーとしては超一流なんだけど、アニマルズの”Don’t Let Me Be Misunderstood”を「誰のせいでもあれしない、みんなオイラが悪いのか」とカバーした”悲しき願い”や”あしたのジョー”みたいな単発シングルが代表曲になっている辺りがどうも解せなくて。過小評価もいい所。落語家を父に持つって所から来るのか何をやってもお笑いになっちゃうキャラクターがそうさせるのか…ビートルズ来日公演の前座をやったりしてるけど、LP単位の代表作が内田裕也との連名盤『ロック、サーフィン、ホットロッド』『レッツ・ゴー・モンキー』になってしまうのも、なんだかね。ウェスタン・カーニバル人脈でロック界にも名盤を残せたのはミッキー・カーチスくらいになってしまうんだけど、この尾藤イサオにもそうした名盤を出す余地はあったんじゃないかな。そんなことを考えながら昨年新譜が出たってんで聴いてみる。


コレはカバー盤。西川峰子盤と対になっている企画盤らしい。「心を揺さぶったあの男性シンガーたちへの捧歌。」と題されているように、亡くなったシンガーへのトリビュート作。冒頭の三橋美智也M-1”星屑の町”をジャジーなアレンジで聴かせる辺りで、なかなか好盤の感触。嬉しいところでは、尾藤も一時在籍していたブルコメの”マリアの泉”もあり。さらにフォークものでは西岡恭蔵の”プカプカ”とか高田渡の”ヘイ・ヘイ・ブルース”(コテコテのブルーズ・アレンジがカッコイイ)とか。バンドもジャズ、ブルーズ寄りの演奏が渋くて。古くは山内テツのバンドやエンケン、チャー、ボ・ディドリー!なんかのバックを演っている嶋田吉隆やウェスト・ロード・ブルースバンドの松本照夫、ブルースハープではKotezも参加していると言う。なかなかライブ感があって良い。松田優作(エディ藩)の名曲M-8”横浜ホンキー・トンク・ブルース”もハマっていた。


軽い歌よりもコテコテのシャウトが聴きたい、となりますと、演劇的な位歌いこむ大塚博堂のM-6”ダスティン・ホフマンになれなかったよ”(布施明も歌っている)や河島英五のM-7”酒と涙と男と女”辺りがベタだけど良かったなあ。前者はレゲエ・ビートを忍ばせていて、この曲のこういうアレンジは想像できなかった。


改めて、このうたの迫力、66歳とは思えない。ポール・マッカートニーにビックリしているだけじゃいけないな、と。近頃の便乗カバー盤の一種かと言われそうだけど、元々シンガーでやってきた人だから、この形が王道!