/ Same ( Dunhill DS-50049 / 1968 )
怪しい赤ジャケの二人。夫婦だろうか、ダンヒルからリリースされた男女フォーク・ロック・デュオ。無名と思しきところだが、リズム&ブルースっぽい曲での女声は突きぬけてはいないものの、そこそこパンチがある。
60年代後半のフラワー・エラのけだるさを出した感じのA-2”Gardens Of Chelsea”辺りが気に入った。さらに、オウ・ゴー・ゴー・シンガーズでスティーヴン・スティルスが歌っていたり、リッチー・ヘヴンスもレパートリーにしていたA-4”High Flying Bird”はテンポアップした快活なフォークロックに仕上がっていてなかなか。この辺りまで聴いて、60年代のオクスリの匂いがするサイケ・フォーク・ロックを交えている割に演奏が巧みなことに気付かされるのだが、それもそのはずで演奏はハル・ブレイン、ジョー・オズボーン、ラリー・ネクテルというレッキング・クルーの面々。そもそもこの盤、スティーヴ・ヴァリのプロデュースで編曲はリード・ギターを弾くトム・ブラウン。3曲のストリングス・アレンジはジミー・ハスケルが手がける。高揚感のある爽やかポップA-5”November Snow”、意外なサビの展開を持つママス&ザ・パパス・タイプのB-3”Golden Gate Park”もすこぶる良い。