/ Same ( Warner / 1971 )
長年欲しいなと思っていた盤。先日未開封サンプルを発見!嬉しかったなぁ。
PYGと並び称されるGS組によるスーパーグループ、ってのが先入観。でも、よく考えてみると、メンバーはB級どころかC級GSの出身。ピーターズの中尾喜紀と矢花郁雄、ファニーズの中村健人、P.S.ヴィーナスの木幡聖彦、秋本良永という面子。いやー、びっくりする位知らない。ライブには近田春夫も参加していたみたいだけど。
沢田研二のバックを演っていた縁で、沢田が作曲した楽曲が4曲(A-1ひとりぼっちの出発、A-2風にそよぐ葦、B-1ブルージーン・ブルース、B-2青春の祈り)。A-1、A-2は井上尭之の編曲。GSものとしては、意外と良い曲だなと思うものの、爆発的にロックしているかというと、疑問。芸能界の匂いと言うか、ベタっとした歌謡性が耳に付く。むしろ、当時ジャズ喫茶で演っていたというニューロック的なレパートリーを聴きたかった気もするけれど。まあ有名どころのB-1”ブルージーン・ブルース”は穂口雄雄が編曲を手がけたグルーヴィな1曲で聴きモノ。
タイガースのカバーも2曲入っていて、”グローリア”(ゼムではなく賛美歌の方)を引用したクラシカルなA-3”落葉の物語”は作曲したすぎやまこういち自身の編曲。もう1曲A-5”君だけに愛を”の方はちょっとクリームっぽいアレンジで。気が付けばこれら橋本淳-すぎやまこういちコンビのカバー以外は全て安井かずみの詩だった。
ファズロック的なナンバーとしてはムッシュが作ったA-4”ゆりになった少年”かな。あと、ミッキー・カーチスが作ったB-2”ふたりでいたい”も熱いギターソロがなかなか。そして、メンバーの木幡が作ったB-3”悪い季節”!コレはなかなかカッコイイ。当時の売れ線ではないんだろうけど、バンドの個性は出てるかな、と。B-4”ゲーム”もすぎやまこういちのクラシカルなメロとハード・ロッキンな音楽性が奇妙にも融合したGSならではの美意識を感じる佳曲!
てなわけで、後半に魅力アリ、の盤。ちなみにボーカルの中尾は1973年にローズマリーを結成。ローズマリーのギタリストはあのモト冬樹(東冬木)だった。