いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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 Johnny Mathis

markrock2009-11-25

/ I’m Coming Home ( Columbia / 1973 )


安い割に良いレコードってのはビニール・ジャンキーにとって何よりも嬉しい。てなことで言うと、ジョニー・マシスは間違いない。ボーカルやポピュラーのコーナーに300円くらいで捨て置かれていることが多いけど、良い意味での金太郎飴。


とは言え、とりわけ60年代後半から70年代半ばにかけては信じられない輝きを見せていて。フリー・ソウル界隈で”Feel Like Makin’ Love”の好カバーなんかが騒がれた時、ちゃんと見てる人は見てるんだなと思いました。でもそれ以後も市場価格は低いままだ。CDの方は数年前に出て、そちらも買ってしまったが、知らぬ間に廃盤になってしまったようなので、市場価格のほうは判らない。


さて、個人的にはグレン・キャンベル同様、低音とスムースなテナーのバランスが堪らなく魅力的。嫌いな盤は一枚もない。今日はトム・ベルが全面プロデュースしたフィリー盤を聴いている。アダルト・コンテンポラリー・チャートでNo.1を記録したタイトル曲”I’ m Coming Home”からして、穏やかな温かみが素晴らしい。割と落ち着いたアレンジが全体的に品の良さを醸し出す。グレン・キャンベルじゃないかと思うくらいポップ・カントリーみたいな音。元々黒人シンガーながら、白人シンガー同様の立ち位置で活躍していた人。シャウトしない品の良さで人種を超えたのだと思う。”I’m Coming Home”じゃないけれど、フィリー詣は居心地の良い所があったんではないかな。ソウルとの接近ということで言えば後にデニース・ウィリアムスと一緒に演る足がかりにもなったセッションだと思う。


哀しいバラード“Foolish”やスタイリスティックスの”Stop, Look, Listen (To Your Heart)”も心に残った。


スタイリスティックスのカバーといえば、2008年の新作『A Night To Remember』も宝物の一枚。”You Make Me Feel Brand New”をヨランダ・アダムスとデュエットしている。全然声が変わっていないんだ。コレには感動してしまった。アトランティック・スターの”Always”も演っていて。余り話題にならなかったけれど一聴の価値がある、普遍のマスターピース