/ Summer Nights, Winter Rain ( RCA KPL1-0169 / 1976 )
コレは実に趣味の良いレコード。針を落とすとメロウなジャズ・バラードが。A-1”Summer Nights / Winter Rain”。いいなぁと聴き惚れてしまう。クラシック作曲家、フレンチホルンをはじめとしたマルチ・プレイヤーとして知られるデヴィッド・アムラムのジャズSSW盤。ホーギー・カーマイケルとか、マット・デニス辺りが好きな人にはたまらんでしょう。チェット・ベイカー並の薄口のボーカルが楽器みたいで。しかし、この盤の珍しい所は、SSWがジャズに接近、ではなく、ジャズメンがSSWに接近している所。アコギを抱えたジャケからして、それ風。ジャズファンには受けなかっただろうことが予想できるけど。
まあでも、掴み所の無いこの人、フォークとは無縁ではなくて、最近も故オデッタやピート・シーガーと共演していたり、ウディ・ガスリーをシンフォニックアレンジでトリビュートしてみせたり。あと、フォークシーンと接点のあるビート族(ジャック・ケルアック、アレン・ギンズバーグ)とも親交があった。本作にもジャック&アレンの詩に曲を付けた”Pull My Daisy ”(1959年の同名ドキュメンタリーのスコアもアムラムが手がけている)が収録されている。ブルーグラス調のA-2”Little Momma”も高速のフルート、カズーソロが入ってくる面白いライブ録音だし。アフリカンなA-4”Song For Kenya”はアイーンって合いの手コーラスが入る。B面には美しいバラードB-2”Deep South Evening Light”が。演奏ではアムラム、ギター、パーカッション、フルート、フレンチホルン、ピアノなど多彩振りを見せつけている。
ちなみに私の持っている盤、イギリスのフォークシーンに名を轟かすアーチー・フィッシャーに宛てたアムラム自身のメッセージが書かれている。アーチーはコレを売ったということですな。