/ ROCK‘N”ROLL ( GARURU RECORDS / 2009 )
個人的には矢沢が来た!と思ったことが過去に一度あって。1998年かな。”チャイナタウン”、”黒く塗りつぶせ”(後者は”プカプカ”で有名な西岡恭蔵の詩)とか、70年代のリメイクを演ったアルバム『SUBWAY EXPRESS』が出た頃。70年代のソニー盤よりもボーカルが強力になっていることに驚いたのと、ポップで下世話なメロの中に間違いなくロックを感じたことが重なって。それと全く同じ状況になっているのが今。新譜『ROCK‘N”ROLL』の出来は驚くほど良い。ap bank fes最終日のトップバッターが空いてるから出ちゃおうって言う発想、大御所のプライドとかじゃなくて、還暦を前にしてココが再び勝負ドコだと感じたんでしょう。動物的なカンに感服。
さて、ジャケがマイケル『Thriller』の反転ってのがまたビックリしたけど、追悼の意味合いを込めていると信じて。
で近作、コレクターズの加藤ひさしの詩が3曲。その加藤詩のしょっぱなのM-1”トレジャー・ハンター”から、キャロル時代のノリを感じて。M-4”小悪魔ハニービー”やM-8”Lady・バッカス”も同様。さらに、M-2”コバルトの空”はシャウトが堪らない。90年代以降の矢沢メロ。そうした所で言うと、デジタルな感触のあるM-6”Loser”も最高!作詩の高橋研はアルフィーの“メリーアン”“星空のディスタンス”や中村あゆみの“翼の折れたエンジェル”のソングライティングで知られるロッカー。シックスティーズ風味たっぷりな『FREEDOM』は80年代ロックの隠れた名盤だった。
M-5”KISS KISS KISS”は、初期ビートルズで言うところのジョン・レノンを思わせる作。ビートルズっぽいイントロから、キャロル時代を回顧するかのような甘酸っぱい歌詞のM-7”Sweet Rock’n’Roll”も佳曲。メッセージでいうとM-11”オイ、そこのFriend”にぶっ飛ばされて。
ココへ来て、ますますカッコ良すぎますよ。TVでは皮ジャン姿を見たけれど、原点回帰作。初めて聴く人に新作を一番オススメしたくなるってのも余りないけど、今回ばかりは自信を持って。『ROCK‘N”ROLL』を感じて欲しい。