/ Same ( Decca DL 75260 / 1970)
Melissaと聴けば、メリサ・マンチェスターを思い浮かべてしまうのだけれど、全くの別人の唯一作。木漏れ日の中、フォークギターを抱えて俯くメリサ。幻想的なジャケの雰囲気そのままにフォーキーなA-1”Come Take Me”にはじまる。ヴォードヴィル調のA-2”Medicine Mixin’”に面食らうが、フォーク・ロック調のA-3”Help Me”に安心する。A-4”I Had An Answer”にはサイケ風味も。A-5”Cry From A Desperate Country”は悲しみの伝わるバラード。ここまではMellisaの自作。
B面はカバーも入っていて。B-4”Brother, Can You Spare A Dime?”は”Over The Rainbow”などの作詞を手がけたE.Y. "Yip" Harburgが彼のメイン・コラボレイターのJay Gorneyと書いたブロードウェイ・ソングのカバー。もう1曲のカバーはビートルズのB-3”I Will”。コレには、全編を通じて染み出てしまうMellisaの影の部分が感じられないので、なんだかホッとさせられたりもする。ハープシコードも入ったクラシカルな好アレンジ! B-1”…And The Boys March On”はベトナム戦争の時代を反映した反戦タッチの作。後半に南北戦争の時代に歌われた"Johnny I Hardly Knew Yeh"が織り込まれていて。B-2”I’m Cryin’”はNY的なシティ・サウンドにフィフスー・アヴェニュー・バンドなんかを想起させる。ラストB-5”One Summer”はひんやり張り詰めた雰囲気のサイケ・フォーク。
プロデューサーのRobert Lissauerはこの盤にしか見ることができない人。オーケストレイションを含めたアレンジを手がけるJohn Lissauerと血の繋がりのある人と予想できるけれど。John Lissauerは、レナード・コーエン、アフリカン・サウンドを先駆的に取り入れたSSWのトニー・バード、さらにはルイス・フューレイ、ラウドン・ウェインライト3世などを手がけた、フォーク系のプロデュースに定評のある人物。