/ Bottom Line Encore Collection( Velvel 47403 / 1999 )
ケニー・ランキンが亡くなったとのこと。6月7日。かなり動揺している。何しろ昨年コットンクラブでライブを見たばかり。多少、年齢から来る衰えは感じたものの、唯一無二のスキャットを、最前列かぶりつきで拝見。体調が悪そうなそぶりはマッタク見えなかったのだ。肺癌…信じられない。結局通算個人的には3回ライブに足を運んだ事になる。こんなに通った海外ミュージシャンは他にはいない。それ位、ライブにこそ真価を発揮する、アウラを持った人物だった。ギタリストとしても、歌い手としても。
そう考えると、1990年のボトムラインでのライブ盤『The Bottom Line Encole Collection』は最強の仕上がり。2002年に青山ブルーノートでスティーヴン・ビショップとのジョイントを見たのだが、声のノリも、テクニカルなガットギターの音色も、このライブ盤と寸分違わぬ音で聴こえた時の衝撃と言ったら。まさに本物を見た思いで、とにかく脳天を打ちぬかれた。
オリジナルアルバムのグルービーかつジャジーな演奏もマコトにもって素晴らしく、ボーカリストとして勝負できる魅力的な声を持っているにも関わらず、ボサノバやサンバに影響された弾き語りの腕を持ってしまったその偶然!?必然!? 彼がジャズ・ミュージシャンと言うより、ガット・ギターを抱えていたおかげでシンガー・ソングライターと言う範疇で語られたことが、果たして不幸だったのか、ハタマタ幸福だったのか。色々思うところはあるけれど。
そして、忘れられない出来事。以前にも書いたけど、2006年のライブ。一緒に見に行ったNatural Recordsの宮武弘くんがKennyにサインを求められる、というマジカルなハプニングが!!Natural Recordsの新作を手渡したところ「サイン書いてよ」って。音楽がもたらす出会いを思って涙したのでした。
今日は静かに、ケニーを流します。
■過去レビュー
・Kenny Rankin / Silver Morning (Rankin Music Productions / 1975 )
http://d.hatena.ne.jp/markrock/20060804
・Kenny Rankin / A Christmas Album ( Rankin Music / 1999 )
<2006年の来日公演のレビュー含む>
http://d.hatena.ne.jp/markrock/20061123
・Kenny Rankin / Mind Dusters ( Mercury / 1968 )
<2008年の来日公演のレビュー含む>
http://d.hatena.ne.jp/markrock/20080303
・Kenny Rankin / Baby Goodbye / Soft Guitar ( Columbia JZSP 76054 / 76055 / 1963 )
Kenny & Yvonne / Come On And Be My Love / Don’t Go To Strangers ( Columbia JZSP113574 / 113588 / about 1964 )
<ケニーの60年代のシングルについて>