/ Same ( Reprise MS2243 / 1976 )
何年も前に買ったが、マトモに聴いていなかったピーター・プリングルのワーナー・リプリーズからのデビュー盤。カナダ・トロント生まれ。フレンチ・カナディアンなのか、フランス語の盤が多い中、こちらは英語。プロデュースは、エミルー・ハリスを手がけていたブライアン・アーン。彼の色を発揮してか、」カントリー系の楽曲も2曲。1曲はロドニー・クロウェルが書き、リンダ・ロンシュタットがハーモニーで参加したA-2”Seeing’s Believing”。演奏はビル・ペイン、フレッド・タケット、リック・クンハ、デヴィッド・ハンゲイトと言う凄い布陣。もう1曲はウィリー・P・ベネットのカバー、B-1”White Line”。こちらはもう一人の歌姫エミルー・ハリスがハーモニーに加わっている。
その他はジャケのイメージだとエイティーズなポップロックを思わせるのだが、聴いてみるとAOR前夜のピアノSSWと言う風情。結構ヒューマン&カントリータッチで、時折都会的な要素も顔を見せてくれる辺りが好感触。哀愁を帯びたA-1”Gonna Get A Lady”でスタート。アラン・シュワルツバーグ、トム・チェジニック、ボブ・マンらがサポート。ストリングスとホーンアレンジは元フリー・デザインのクリス・デドリック。パンチのあるハーモニーを聴かせるダイアン・ブルックス(エミルー盤に数多く参加)が良い。細かく言えば一人二人いなかったりはするのだけれど、おおよそこの布陣でA-3”Please Don’t Sell Nova Scotia”(好バラード!)やA-4”Down To Blue”、B-3”Takin’ The Freeway”(ギターにメイソン・ウィリアムズも参加した佳曲)をレコーディング。ハズレは無い。また、ハープとフルートが幻想的なB-2”San Francisco”も大変気に入った。ケニー・ランキン的な美しさもあり。サックスが咽び泣くB-4”New York City”も捨てがたい。そしてそして、小粋で哀愁を帯びたシャッフルB-5”Dance With Me”は大名曲!!歌謡タッチもあり、当時邦題付けて日本発売したら大化けしてたかも。
それはそうと、彼の近況をリサーチしていたら、なんと現在はテルミン演奏家になったとのこと。60年代はインドでラヴィ・シャンカールに教えを請うていたり、ニューヨーク、LAを渡り歩いてレコードを作ったあとは、カナダのテレビショウの司会をして、10代のセリーヌ・ディオンと何度も共演したり…。そして音楽の世界をリタイアした頃に出会ったのがテルミン、てなわけで全くもって数奇な運命。テルミンのCDも出してるみたいで、こちらなんかで視聴できるのだが(http://vids.myspace.com/index.cfm?fuseaction=vids.individual&videoid=2039159927)、胡弓みたいでなかなか悪くない。ちゃんと音楽教育を受けた人をも魅了する楽器テルミン。面白い。
http://www.peterpringle.com/
http://www.peterpringle.com/videos.html