/ Hexagram 16 ( Warner WS1910 / 1971 )
アソシエイションのギター・ボーカルだったラス・ギグア唯一のソロ作。西海岸の豪華なゲスト参加陣で有名な盤。
X-1”Now We Begun”は浮遊感のある、アコギで聴かせる曲。ギグアの作。X-2”Brother Speed”は、ラスと共にプロデュースを手がけるジョン・ボイランが作ったロックっぽい作。たいした曲ではない。X-3”Ridge Rider”はなんとジュディ・シルのカバー。ジュディ自身もギターで参加している。ハーブ・ペダースンだろうか、バンジョーの音色も聴こえる。ハーモニカが何ともいい感じに入る美メロ曲。X-4”My Plan”は、ビル・マーティン作。ラリー・ネクテルの荘厳なオルガンの音色に導かれて。聖歌隊のごときコーラスも凄い。ジェリー・イエスターがコーラスに加わっている模様。女声はクライディ・キング、メリー・クレイトン、ジュディ・ヘンスキらだろうか。詳しいクレジットがないので判然としない。GSキチな私は思わず”恋のドクター”かと思ってしまったが、X-5”In New Germany ”はラス作のロックンロール。こういう曲がポッと入ってくる雑多な感じがこの盤の掴み所を失わせている。
お次は裏面。X-4と同様ビル・マーティン作のY-1”Rosarita Beach Cafe”は、心和むフォーキーチューン。この曲と”Ridge Rider”でシングルが切られている。Y-2”Lover’s Prayer”はランディ・ニューマン作のロッキンソウル。Y-3”Let It Flow”のクレジットを見ると、ジム・スフィーリスの名が。言わずと知れたダウナーなSSW、ジミー・スフィーリスの佳曲。彼のファーストに含まれている曲だが、こちらが初出か。スフィーリスはデヴィッド・クロスビーに匹敵する才能を持っていると個人的には思っているのだが、早逝が惜しまれる。Y-4”Shop Around”はスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズのカバー。ラスはこういったソウルものを好んでいたと思われる。ラストはアル・キャップスがオーケストレーションを手がけたドラマティックなY-5”Pegasus”。作ったのはアソシエイション仲間のジュールズ・アレクサンダー。
その他、参加陣を挙げておくと、バーニー・リードン、ボビー・ウォマック、ベン・ベネイ、バディ・エモンズ、スプーナー・オールダム、バド・シャンク、クレイグ・ドージ、ジム・ケルトナー、ラス・カンケル等等。この時代だからこそ作り得た作。