/ 男と女 –Two Hearts Two Voices- ( Universal / 2008 )
そろそろ今年も終ってしまう。今年の新譜で面白かったものを幾つか紹介しておかないと年が越せないか。
稲垣潤一。オトナなアーティストだと思う。中学生の頃からそう思っているのだが、今も印象は余り変わらない。近作もなかなか面白くて買い続けているのだが、コレは金をかけた力作。ユニヴァーサルって凄いな、と思ってしまう。
最近はしばしばカバーモノを出している彼だが、もともと歌で勝負してきた人であるだけに、その仕上がりには自信があるのだろう。本家に負けてはいない。しかも豪華な女性シンガーとの共演。男声女声のキー・チェンジもスムースで、むしろドラマティックさを演出するのに貢献している。冒頭ユーミンのM-1”Hello, my friend”は“エヴァ”の歌唱で知られる高橋洋子の唄が凄い。こんなに感動する曲だったのか、と久々に。稲垣のボーカルもオリジナルかと思わせるほどで掴みはバッチリ。そう言えば高橋はユーミンのツアーにも参加していた。さらに稲垣とは縁深い林哲司作品M-2”悲しみがとまらない”は小柳ゆきと。聖子のフォスターばりのバラードM-3”あなたに逢いたくて〜Missing You〜”のお相手は同じくブリッコ松浦亜弥。意外に頑張って歌っている。AORファンが喜ぶアレンジも良い。M-4”PIECE OF MY WISH”をデュエットしていた辛島美登里作品M-6”サイレント・イヴ”は大貫妙子と。さらに本家太田裕美とのM-8”木綿のハンカチーフ”、山本潤子とのM-10”秋の気配”(オフコース)だとか、完璧なキャスティング。ラストは明菜さんとのM-11”ドラマティック・レイン”ですか。参った。寒い夜だから、なんて言うと捕まりそうな気持ちになってしまうが、M-5”セカンド・ラブ”をデュエットしているTRFのYU-KIって明菜声なんだと初めて気付く。アラフォー世代ど真ん中、ってな盤がばかりが目に付く昨今だが、コレは完成度高し。