いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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【書評掲載】
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『日本教育新聞』2019年3月18日 都筑 学(中央大学教授)「先哲から学ぶ人生の知恵」
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Steve Cropper & Felix Cavaliere

markrock2008-08-03

/ Nudge It Up A Notch ( Stax /2008 )


先日より引越し。段ボール40箱余りに詰めるCDやレコを厳選する作業、辛かった。定期的には処分していたのだが、引越し日というお尻が決まっている以上、今回の作業は戦いでした。


そうそう、赤塚不二夫の死、わかってはいたもののショック。お冥福をお祈りします。


さて、新生スタックスからの新譜。この顔合わせを見て、即買い。片やスティーブ・クロッパー。ブッカーT&ザ・MGズのギタリストとして、オーティス・レディングからサム&デイブ、エディ・フロイド、ウィルスン・ピケットまで、スタックス・ソウルの黄金期を支えた彼。1941年生まれということは、御歳67。艶々した顔色からするとオドロキ。そして、クロッパーとがっぷり四つを組むのが、元ラスカルズのキーボード&ボーカルのフェリックス・キャバリエール。クロッパーの相手役としては申し分ナシのブルーアイド・ソウル・シンガー。キャバリエールは1994年にドン・ウォズのプロデュースで久々の復活盤『Dreams in Motion』をリリースしたこともあったが、スムースなAORとして評価できたものの、往年のファンには物足りなさもあったはず。その後、マンハッタン・トランスファーの1995年盤で名曲”Groovin’”を再演していたり、リンゴのオールスター・バンドで来日したりとちょこちょこ顔は見ていたけれど、彼の渋い喉を堪能できる新作の方はとんとご無沙汰だった。


本作のコ・プロデュース+コ・ライターを務めるジョン・タイヴンはまた重要なお人。クロッパーと同じくナッシュビルに居を構え、白と黒の境界で作る音には定評がある。彼が絡んだ作品でキャバリエールがゲスト参加していたこともあった。” Where Were You When I Needed You”でデュエットを聞かせた、2年前のP.F.スローンの新作『Sailover』だとか、あのヴェロニカと”I Love You So”をデュエットした、アーサー・アレキサンダーのトリビュート盤『Adios Amigo』だとか。アーサー・アレキサンダーと言えば、アーサーのトリビュート作品もリリースしているアラン・メリルの近作にもタイヴンは関わっていた。


さて、本作の肝心の中身はと言うと、もうとにかくゴキゲンな仕上がり!冒頭M-1”One Of Those Days”から、フェリックスのシャウトが炸裂する、最高のR&Bアルバムに仕上がっている。ギターはスティーヴ、フェリックスはオルガン、ドラムスはジェネシスやフランクザッパでの活動が知られるチェスター・トンプソン、ベースはシェイク・アンダーソンという布陣。インストも織り交ぜた全12曲。ジャケほど懐古趣味的な仕上がりでもなく、新旧の音を織り交ぜた仕上がり。ドラムスには、イマ風のR&Bっぽいテイストもある。M-9”Make the Time Go Faster”ではラップにトライしたりと、安易に言えばスタックス・ソウルの21世紀的展開も楽しめたり。


M-2”If It Wasn’t for Loving You”の歌い回しには”Groovin’”を思い出す。白眉は切ないミディアムM-3”Without Her”か。スティーブのパキパキ・ギターとフェリックスのシャウトがぶつかり合うM-7”Still Be Loving You”もコーラスが気持ち良くキマって悪くない出来。インストM-4”Full Moon Tonight”やM-9”Make The Time Go Faster”では、サム&デイブ”Soul Man”なんかでも聴けたスティーヴの手癖が蘇る。


ところで、タイトルの『Nudge It Up A Notch 』。翻訳ソフトに入れてみたところ、“V字形の切込みにそれをそっと突いてください”だって。