/ The Loner – Nils Sings Neil ( HYP 8261 / 2008 )
CSNYの新譜よりこっちの方がずっと良かった、というのが、ニルス・ロフグレンのニール・ヤング・弾き語りカバー集。ジャケのD-18は、『After The Gold Rush』のレコーディングにニルスが参加した際、ニールから貰い受けたもの。この生ギターと、これまた思い出深いピアノで弾き語りを敢行。ニルス自身とともに一応コ・プロデューサーに名を連ねているのは、デビッド・ブリッグスだ。これまたニールともニルスとも関わりの深い人物。
ニルスは、ニール・ヤングとブルース・スプリングスティーンというアメリカン・ロックの2大巨頭をサポートしてきたギタリスト/シンガー。グリンやソロとしての活動もなかなかのものだ。そんなベテランとは言え、ニールの楽曲にここまで潔く向き合って、果たしてオリジナルを汚すようなことはないだろうか。そんな不安を抱いたのもつかの間、杞憂は一瞬にして吹っ飛ぶ。冒頭M-1”Birds”の吐息が伝わる繊細なボーカル。やられた。さらに、スティルスとヤングの共演盤のタイトル曲M-2”Long May You Run”のギター弾き語りが何とも素晴らしい。その他、M-4”I Am A Child”、M-7”Mr.Soul”、M-13”On The Way Home”と言ったバッファロー時代の作品を含む初期作品群が見事。アコギ版M-7”Like A Hurricane”とスティルスばりにブルージーなオープンチューニング・ギターを聴かせるM-8”The Loner”が白眉か。ちなみにこの曲、ニールのライバルだったスティルスも『Illegal Stills』において、独創的なリフを加え、カバーしている。聴き比べてみるのも一興。