いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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 井上陽水 

markrock2008-07-18

/ 弾き語りパッション ( FLME / 2008 )


仕事もようやく一段落。なかなかレビューをアップすることも出来ず。まあ取り合えず、出たばかりの陽水の新譜を。


昨年は奥田民生とのデュオ2作目、『ダブル・ドライブ』をリリース。二人のルーツであるビートルズものをはじめ出来は悪くはなかったが、目立ったシングル曲がなかったからか今一つの印象。やっぱりベテランは旧作に絡ませないと、CDの売り上げ自体が落ちている昨今、円盤に固執するシニアリスナーを取り込めないとマアそういうワケでしょう。2007年のツアーから初期4作からの懐かしい叙情フォークを中心に聴かせている。弾き語りだけど、ライブ会場のライン音源ですから、エレアコの音なのは仕方ない。かつての『もどり道』の緊迫感に出会えるのか。


中身だが、ねばっこくなった現在の声質では辛いかなと思わせられる、ピュアでハイトーンな初期楽曲群ながら、冒頭M-1”闇夜の国から”や M-3”断絶”にしても気張ってよく歌っている。オリジナルのリフも飛び出していい感じ。M-9”ゼンマイじかけのカブト虫”、M-11”いつのまにか少女は”はいつ聴いても良い。後半の畳み掛けるヒット群M-12”心もよう”、M-13”夏まつり”、M-14”人生が二度あれば”、M-15”傘がない”にはグゥの音も出ず。


ラストはアンドレ・カンドレ時代のデビュー曲M-15”カンドレ・マンドレ”。この曲、絶対再発されないだろうLP『陽水生誕』で聴ける。この盤、陽水をロック化させた重要人物、星勝がいたモップスに提供した”窓をあけろ”のデモだとか貴重音源の嵐。陽水のバックボーンであるビートルズの完コピ”She Loves You”、”I Saw Her Standing There”も聴ける。この人、フォークって言われるほどフォークでは無い。『氷の世界』収録の”心もよう”のベースが細野晴臣だったりと、侮れない。