/ The Main Event ( Reprise / 1973 )
フランク・シナトラの70年代は円熟期のライブ盤。場所はマディソン・スクウェア・ガーデン。60年代後半〜70年代前半辺りのシナトラの諸作には、若いロック世代のヒット曲をゴージャスなアレンジで歌ったものも多く、なかなか聴き物なのだ。ポール・アンカが近年、ロックの名曲をゴージャスでスウィンギーなアレンジで歌いなおすヒット作をリリースしたけれど、その手法においてもやっぱりシナトラが師匠格。有名な所だと、”Mrs.Robinson”(サイモン&ガーファンクル)、ビートルズの”Something”(一番好きなレノン&マッカートニーの作品だと語ったというエピソードがありますが…)、”Didn’t We”(ジミー・ウェッブ)だとか。
それらと共に印象深いのが、”Bad, Bad Leroy Brown”、”You Are The Sunshine of My Life”のカバー。前者は当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったジム・クロウチ、後者は言わずと知れたスティーヴィー・ワンダーの作。スタジオ盤もなかなかだが、この2曲のライブ・テイクを収めた本作もいい。M-6”I’ve Got You Under My Skin”やマット・デニスのM-8”Angel Eyes”と言った名曲も堪能できる。ラストはモチロンM-12”My Way”。参りましたという感じで。
そう言えば、ボブ・ゴーディオ、チャーリー・カレロがアレンジを手がけ、ソフトロック界隈でも評判を集めた1970年の作『Watertown』。個人的にはLPで愛聴していたのだけれど、随分前にCD化されていたのだと最近気付いた。