/ MOMOTARO PINK With Original PINKS ( 1978 )
これはビックリ意外な完成度の高さ。田中研二『チャーリー・フロイドのように』でバックを務めた貧゜苦巣の唯一作。URCからリリースされる可能性があったものが、URC倒産の憂き目に遭い、自主盤として300枚リリースされたと言う代物。今手に取っているのは、田中研二盤をリイシューしたシールズ・レコードからCD化されたものだ。
ザ・バンドみたいな土臭いアメリカ南部の音を追及した日本のバンドというと、はちみつぱいや葡萄畑のデビュー盤、ごまのはえなんかを思い出す。ウェスト・コースト寄りの爽やかなスタジオ盤を残しているが、当時のライブの音を聴くと結構イナタイ、センチメンタル・シティ・ロマンスなんかもそっち側の音。しかしこの貧゜苦巣、そうした名バンドに引けを取らないイカした音。
M-1”Work Song”から、「掘って、掘って、又、掘って」というイキの良いリフレインが飛び出す。日本語の載せ方にも、センスを感じる。軽快なカントリー・ロックM-2”貧乏神”、ブルーグラス・タッチのM-4”嘆きのバンドマン”、レゲエ・ビートな歌謡M-9”のんだくれ”、タイトルがザ・バンドなM-10”Last Carnival”まで、バラエティに富んだ仕上がりだ。
ちなみにリーダーのモモタロー貧苦、このCDの復刻を知ることもなく、49歳の若さで亡くなっている。