とうとう出ました!あのヒッピーズ・アンセム”Get Together”のディノ・ヴァレンティ版デモ!それを収録しているのが、昨年末にリリースされたこのコンピなのだが、日本盤も最近出たようだ。まあ、バーズ・ファンには知られた音源も多いので輸入盤で十分でしょ。私はcaiman americaより入手。
コレ、ジム・ディクソンの録音したデモを集めたもの。プレ・バーズ音源が中心。『Byrds Parts』や『Byrds Parts Vol.2』収録曲ともダブるけれども、ファンは買い。ディノと親交があった同じくフレディ・ニール・タイプのフォーク歌手デヴィッド・クロスビー関係の未発表曲も含まれているわけだし。”Willie Jean”と”Come Back Baby”(レイ・チャールズのカバー、リードギターはトミー・テデスコ)は、”Get Together”のクロスビー版と共に『Byrds Parts』『Byrds Parts Vol.2』で聴けるのだけれど、ウェスト・コースト・ジャズシーンで活躍したサックス奏者、バド・シャンクと共作したインスト”Charisma”は初出。しかもあのジョー・パスがリード・ギターを弾いているというのだから驚き。まあそれほど弾いてる感じはしないけれど。クロスビーのジャズ/フォーク/ソウルのクロスオーバーな音楽性に改めて感心する。デビュー前のバーズのプリフライト・セッションを聴くとマッギンよりもクロスビーのハーモニー・センスに目を奪われてしまう。
その他の未発表曲はゴスディン・ブラザーズのディランカバー”To Ramona”、ハミルトン・キャンプのマッギン、ヒルマン、マイケル・クラークをバックにしたこちらもディランカバー”The Times They Are A Changin’”、ディラーズの”Someday You’ll Find”の3曲。”時代は変わる”ではバーズ・ヴァージョンのアレンジの原型が聴ける。
他はヒルメンやプリフライト・バーズなど。レオン・ラッセルのインスト”Jamaica Farewell”や”Stewball”はレオンにグレン・キャンベル、ハル・ブレインという当時の西海岸の腕利きスタジオ・プレイヤーが参加。ちなみにPP&Mなんかも取り上げているトラディショナル"Stewball"ってジョン・レノンの"Happy Xmas (War is Over)"の完璧な元ネタ。ほぼ同じ曲ナリ。
そうそう、重要な”Get Together”だが、ディノの6弦(12弦には聴こえない?)とリー・スクラーのベースというシンプルな作り。ヤング・ブラッズのヴァージョンとは歌い回しも微妙に違い、ヤングブラッズは豪放なディノの音を耳馴染み良く作り直していたと初めて気付いた。その他のディノ音源 ”Black Betty”(レッドベリーのカバー)、”Life is Like That”にはレオン・ラッセル、ラリー・ネクテル、ハル・ブレインが参加している。