/ Limited Edition ( AFP 0401 / 2004 )
/ The Folk Den Project 1995-2005 ( AFP0402 / 2005 )
まったく迂闊だった。マッギンが亜米利加の伝承フォーク/ブルーズを自前でレコーディングし、mp3音源はじめギターコードや歌詞にまで至る公開を行っている”Folk Den”の活動はモチロン知っていたのだが、サイトで新作アルバムを発表しているとは…バーズファン失格ですね。しかも昨年末は7弦ギターのプロモで来日&ライブ(http://jp.youtube.com/watch?v=P85dCdgSc0E)までしていたわけだし、これにも気付かなかったワタシはホント、ファン失格です…
まあそんな気分にもなる程、この新作は見事な出来。まずM-1では、マッギンにリッケンバッカーの12弦を弾かせるキッカケになったビートル・ジョージの”If I Needed Someone”を披露。思い返せば映画“A Hard Day’s Night”がアメリカのフォーク青年にエレキを持たせたのだった。全く時空を超えているバーズ・サウンドに酔う。続いてはメドレーっぽくオリジナルのバーズ風ロックンロールM-2”Parade of Lost Dream”が。さらにトラッドM-3”Shady Grove”ではヒップホップっぽいトラックに古謡のマイナー調のメロを載せてくる。成果はともかくマッギンのオトロエを知らぬ創作意欲に感心。
単純なロックンロールM-4”James Alley Blues”も楽しい。やはりエレクトリックサウンドとエコーをかけたマッギンのボーカルの相性は抜群。フォーキーなリッケン12弦曲M-5”On And On”ではメロディメーカーとしての才能を再確認。メジャーでの1991年作『Back From Rio』と比べてもクオリティは落ちていない。さらに、M-9”When The Saints Go Marching In”(聖者の行進)はバンジョーとアコギで聴かせるが、これはFolk Denの流れ。M-12のアコギ12弦インスト”Echoes Live”はライブならではの緊迫感が良かった。ミュージシャンでは、スタン・リンチ(バーズ・フォロワーとして知られる亜米利加の国民的バンド、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの元ドラマー)、ジョン・ジョーゲンソン(クリス・ヒルマンとのデザート・ローズ・バンドで成功した腕利き)らが参加。
ところで本作に収録されているM-9やM-12”Saint James Infirmary”は、Folk Denで1995年から2005年に取り上げた曲のうち、特にマッギンお気に入りの100曲を収録した4枚組『The Folk Den Project 1995-2005』にも併せて収録されている。この4枚組は、サイトからのダウンロードでは音質面で満足がいかなかった楽曲も割とクリアに聴き取れるため、フォーク/ブルーズのアーカイブとしても有用。ファンなら買い!でしょう。そこまで高くもないし。