/ 男唄〜昭和讃歩〜 ( ZAIN RECORDS / 2007 )
暑苦しいブルーズメンによる歌謡曲カバー盤。昭和歌謡ブームはいまだ続いている感があるが、この二人にやらせるのはナカナカやるな。特に近藤は意外にハマッている。木村は憂歌団時代にも萩原健太プロデュースで歌謡カバー集『知ってるかい?』を出しているが、そこでの“石狩挽歌”的なアプローチであろうことが曲目からも推測できる。昨年の狭山のハイドパークフェスではブルース・タイムなるトリオ編成で有山じゅんじも加わっていたのだが、今回は二人だけ。
アタマと尻尾にブルースジャムを入れているのは、若者に勘違いされないためか。個人的に心に残ったのは、M-3”俺は待ってるぜ”、M-4”男のブルース”、M-5”男ならやってみな”、 M-9”これが男の生きる道”、M-11”北帰行”あたりをさりげなく演ったもの。とりわけ演歌モノと相性が良い。彼らが唸るブルーズのコブシは演歌のコブシだったと気付く。
レゲエビートに載せたM-2”泣いてたまるか”や吉幾三の名曲M-7”酒よ”なんかも悪くないんだけど、アレンジの面でもちょっと頑張り過ぎている感も。煩いバッキングがボーカルの味を削いでしまうのが残念。M-6”酒と泪と男と女”は、実に平凡な親父カラオケ的オケになっていてガッカリ!同じ河島で言うところの“時代おくれ”じゃないんだから…。M-14”プカプカ”も好カバーではあるが、西岡恭蔵の悲劇がまだ心に刺さっているせいか、余り暢気な気分で聴く気になれない。などと粗を探せばキリがないのだが、全体的には実に和む。好盤。