/ Life in Cartoon Motion ( 2007 )
イマサラですが、ミーカはいい。プレイヤーに載せる機会がなかなか多いことから言っても、いい仕上がりなのだとつくづく思う。とっても若いSSWのデビュー作だが、美メロ満載の目くるめく万華鏡ポップ。クイーンだとか、エルトン・ジョンだとか色々言われてますが、割とエイティーズ・マニアな感じが好感。てかポップスマニアか。ヒップホップに毒されてない良質のポップがイギリスからは時折出てくるので面白い。彼、日本のポップスシーンにも詳しいらしく、海外メディア絶賛のパフィーはもちろん、椎名林檎まで聴いているとか。日本のモノマネポップスを、日本の洋楽ファンは長らくバカにし続けていたわけだが、それも改めなきゃいけない時代に来ているのかも。何しろ、“J-Popは色々な要素がミックスされていて面白い”、などと言い出す海外の音楽ファンがこんなにも多くなってきたのだから。
フレディなんて歌詞も出てきて明らかにクイーンを狙ったバカ売れシングルM-1”Grace Kelly”、飛び切りハッピーなM-2”Lollipop”、正統派ポップバラードM-3”My Interpretation”は完璧な流れ。フレディほど声が太いわけではないが、かなり幅広い声域を持つことに驚かされる。時々声が裏返りかけるトコロなどは、エアロのスティーヴン・タイラーを思い出す。そう言えばエアロ関係のライター、リチャード・スパはM-3をミーカと共作しているし、同じくエアロに曲を書いているデズモンド・チャイルドは王道ロックバラードM-11”Erase”を共作している。ディスコっぽいM-4”Love Today”は自らのデビューのきっかけでもあったビージーズが下敷き。面白い。M-5”Relax”が雨音はショパンなガゼボだとしたら笑ってしまう。M-7”Any Other World”のポール・バックマスターの弦アレンジは、曲調から言っても、もちろんエルトン・ジョンが下敷きにある。ここまで行くとポール・マッカートニーも出てくるわけで、そちらはM-8”Billy Brown”。この盤、歌詞も結構面白い。幅広な女性賛歌M-9”Big Girl (You Are Beautiful)”なんて…。さらにセンチなM-10”Stuck in the Middle”のポップな構成も必聴。ラストM-13”Happy Ending”ではゴスペルな感動を。ミュージカル『レント』のテーマ”Seasons of Love”ほどではないけど、いい曲だと思う。日本盤ボーナスはM-12”Your Sympathy”。
アルバムでここまでの捨て曲ナシ、、凄すぎない?? ポップス・ヒストリーを下敷きにしても負けない個性があるのも見事の一言。