/ Songs I've Written ( Brizac Records / 2003 )
単純明快なタイトル。グラディス・ナイト&ザ・ピップスの”Midnight Train To Georgia” で知られるジム・ウェザリーの自作自演集。彼自身シンガー・ソングライターとして何枚もアルバムをリリースしており、そこでグラディス・ナイト&ザ・ピップスへの提供曲を歌っていたこともあったのだが、肝心の”Midnight Train To Georgia”は聴けなかった。そういう意味でも痒いところに手が届く盤。
自主盤の体で打ち込みのループが実にチープなのはイタダケないが、”Midnight Train To Georgia” がM-1とM-14(スロウ・ヴァージョン)の2ヴァージョンで聴けるのはウレシイ所。当世R&Bっぽい音にしようと頑張っている感じは否めないがそう無理をしている風でもない。さらに自身のヒットM-2”The Need To Be”、グラディス・ナイト&ザ・ピップスではM-5”Neither Of Us (Wants To Be The First To Say Goodbye )”、M-7”Love Finds It’s Own Way ”、M-9”Between His Goodbye And My Hello”、M-13”Where Peaceful Waters Flow”、M-14”Best Thing That Ever Happened To Me”を自演・新録で聴かせる。
さらに、彼はカントリー界でもトップ5ヒットを生み出しているらしく、そこからM-4”You Turn Me On Like A Radio”(エド・ブルース)、M-8”Someone Else’s Star”(ブライアン・レーン)、M-10”A Lady Like You”(グレン・キャンベル)、M-13”Where Do I Put Her Memory”(シャーリー・プライド)などを。ケニー・ロジャースに提供した新曲M-6”Until Forever’s Gone”なんてのもある。噛みしめるような切ないバラードに味がある。
全体的にソングライターの良心を感じるさせる出来。デモ集を聴いている感じで、いいメロディが詰まっている。それとともに、カントリー系のソングライターでありながら、R&Bと強い親和性を持つことを改めて感じる。グラディス・ナイトのヒットメイカーであった事実からも推測できることではあるのだが。最近ダニー・オキーフなんぞを聴き直した時にも感じられたことなのだが、アメリカ音楽の懐の深さよ!