/ Waiting For A Song ( Ember / 1973 )
サイケデリック・フランク・シナトラの死。元ママス&パパスのデニー・ドーハティが亡くなった。パパ・ジョン・フィリップスの死も悲しかったのだが、それに引き続き…。エド・サリヴァン・ショウのカラー映像をよく目にしていたので、デニーの印象もその時のまま。晩年の写真を見たときは、流石に老いていて泣けてきた。そう言えば今年、マイケル・ブレッカーも若くして亡くなり、驚いた。
これはキャス・エリオットとミシェル・フィリップスが全編コーラス参加した1974年のソフトロックなボーカル名盤。2種類のジャケでCD化されている。改めて聴いてみよう。プロデュースはダリル・ホール、トム・セラーズ、ティム・ムーアが在籍していたガリヴァーのプロデュースで知られるジョン・マダラ。アレンジはマイク・メルボーンとトム・セラーズが務める。
とにかく珠玉の名曲ばかり。イングランド・ダン&ジョン・フォード・コーリー初期の名バラードM-1”Simone”、70年代版ママパパといった感じの目くるめくコーラスものM-3”You’ll Never Know”にまず耳を引付けられる。A-4”Togethter”はアソシエイションの”Never My Love”を作ったリチャード&ドナルドのアドリシ兄弟の作。”All You Need Is Love”なアレンジがグッド。アドリシ兄弟のデモも未発表アルバムセッション『Never My Love The Lost Album Sessions』で聴ける。さらに、無名ながらリック・サンドラー作のカントリーロックM-6”Southern Confort”を挟み、酔いどれた、バリー・マン作・ライチャス兄弟のM-7”You’ve Lost That Lovin’ Feelin’”。この曲、アメリカで最もエアプレイされているシングルだそうだが、こうしたディープ&ソウルフルな楽曲を好む素地が日本とお国柄の大きな違い。さらにM-8”Goodnight And Good Morning”はジョン・マダラ繋がりで初期ポップソウルなホール&オーツ曲。ちなみにホール&オーツのデビュー前のデモ曲集っていくつか出てますが、SSWファンにもオススメ。かなり良い。さらにM-9”Lay Me Down (Roll Me Out To Sea)”はグレン・キャンベルやB.J.トーマスに曲提供し、自身もソロ作を一枚出しているラリー・ワイスの作。ゴスペルっぽい曲。ラストのフォーキーなM11”I’m Home Again”まで、セヴンティーズポップ好きにはタマラナイ質感。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。