いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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[NEW!!]2023年3月31日発売、スコッティ・ムーア『ザ・ギター・ザット・チェンジド・ザ・ワールド』、オールデイズ音庫『あの音にこの職人1:スコッティ・ムーア編』、ザ・キャッツ『キャッツ・アズ・キャッツ・キャン』の3枚のライナーノーツ寄稿しました。
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[NEW!!]2023年2月24日発売、ビッグ・ボッパー『シャンティリー・レース』、フィル・フィリップス『シー・オブ・ラブ:ベスト・オブ・アーリー・イヤーズ』、チャド・アンド・ジェレミー『遠くの海岸 + キャベツと王様』の3枚のライナーノーツ寄稿しました。
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[NEW!!]2022年12月23日発売、バディ・ホリー・アンド・ザ・クリケッツ 『ザ・バディ・ホリー・ストーリー』(オールデイズレコード)のライナーノーツ寄稿しました。
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Frankie Valli and the Four Seasons

markrock2007-01-05

/ Streetfighter ( Curb R25X-2002 / 1985 )



フランキー・ヴァリ&ザ・フォーシーズンズのオリジナルアルバム群が2in1でCD化されてますね。それで思い出した一枚は、80年代、久々のオリジナル盤のお出ましとなった『Streetfighter』。ジャケは悪そうなイタロ・アメリカン達。3、4年前に中古盤を買った時にはトンデモナイ駄盤だと感じたのだが今の耳にはどう響くのか…


さて改めて聴いてみると、60年代〜70年代の色を求めると確かにゲンナリするかもしれないが、80年代らしいデジタルポップは意外に新鮮。アレンジにはチャーリー・カレロが当たっているが、彼の色は感じない。つまり別にフォーシーズンズである必然性は感じられないのだが、音だけを聴くなら十分鑑賞に堪える代物。エイティーズの無個性サウンドに載るヴァリの声に、長大なロックヒストリーを生き抜いた男の意地を感じ取れる想像力があればなおさら。


参加陣はというとスタジオミュージシャンではダン・ハフ、ジョン・ロビンソン、フレッド・タケット、ポール・ジャクソンなんかが。コーラスではボビー・コールドウェル(クレジットではRobert H. Caldwell)、エアプレイのトミー・ファンダーバーグ、アンドリュー・ゴールド、トム・ケリー、リチャード・ペイジとマア豪華。


切ない美サビメロを持つA-1”Streetfighter”、ポール&コステロとは同名異曲A-2”Veronica”とまずはご機嫌なスタート。スローなストリングスに導かれるバラードA-3”Moonlight Memories”は懐かしいタッチ。美しい。次なるA-4”Book Of Love”のリメイクは単独で聴けば「最悪」と評価せざるを得ないが、マアこの流れなら許すか。エイティーズ・ムーヴィーには合いそう。この曲以外、A面はサンディ・リンツァーとアーウィン・レヴィンのコンビが書いている。


B-1”Did Someone Break Into Your Heart Last Night”とB-3”Once Inside A Woman’s Heart”はA-1〜3と同じコンビの作。B-2はジェリー・コルベッタとボブ・クルーのコンビで”Commitment”。ラストはボブ・ゴーディオとボブ・クルーのコンビの作でB-4”What About Tomorrow”となっている。印象に残ったのはストリングスが効果的に入ったバラードB-3。ヴァリのハイトーンも堪能できる。


ところでジェリー・コルベッタと言えばシュガーローフのリーダーで”Green-Eyed Lady”のヒットを持っている人物(1978年のソロ作は良い!)。彼も再結成時にメンバーに加わっている。ちなみに同じくイタロな人ではドン・シコーニ。彼は”ミスター・ダイングリー・サッド”のヒットを持つクリッターズのメンバーだったが、彼も70年代半ば、フォー・シーズンズのメンバーに迎えられた。

そう言えばドン・シコーニの日本発のソロAOR作はボビー・コールドウェルなアートワークがどうかと思いますが、かなり出来が良い!!(1991年の『Forever Begins Today』、1992年の『Lovers Prayer』)どちらもジェリー・コルベッタがプロデュースしている。前者には”ミスター・ダイングリー・サッド”の再録もありますし。