いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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【書評掲載】
『情況』2018年秋号 田中里尚(文化学園大学准教授)「教えられぬことこそ語り続けなければならない―石浦昌之の実践について―」
『日本教育新聞』2019年3月18日 都筑 学(中央大学教授)「先哲から学ぶ人生の知恵」
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Mark Pearson with McCoy

markrock2007-12-31

/ Between Friends ( First American MM9053 / 1981 )


あけましておめでとうございます。本年も引き続き細々とではありますがレコードレビューを続けていくつもりです。昨年末は芸能・音楽界もJB・青島はじめ惜しい人を失いました。戦後ポピュラー音楽の立役者だった人々も70の大台に乗ってきていますから、全く予断を許しません。新しい若手が育っていればいいのですが、アメリカン・ミュージック・アウォードを観ていても、紅白歌合戦を観ていても、ここ10年は変り映えしていません。番組の作りで言えばもちろんわが国の方がより醜悪になっていることは明白ですが、音楽業界全体、というより人々の意識がすでに腐りきっているような感じもします。自分は染まっていないだろうかと心配にもなりますね。DJ OZMAが偽乳を晒そうがもはやどうでもいいことでしょう。これが「美しい国・日本」の現状です。


新年早々話がずれましたが、先人の音楽に耳を傾けていくことは音楽文化の発展に不可欠と改めて思う昨今です。今年はどんな音楽に又出会えるのでしょうか。楽しみです!身近な所で活動しているミュージシャン達の新譜も今年は聴けそうですから、期待しています。いずれにしましても、今年もディグに精進していきたいと思いますので、皆様どうぞ今年も宜しくお願いいたします!!


TOTO・エアプレイ系のAOR名盤として人気を博し、日本でも2in1のCDが出ているニールセン/ピアソン。そちらのファンには想像もつかないだろうが、メンバーの一人、マーク・ピアソンは「グリーンフィールズ」「七つの水仙」で有名なカレッジフォークの著名バンド、ブラザーズ・フォーの途中加入メンバーだった。「ブラ・フォー」はシアトル出身バンド。ということで同じく地元シアトルの良心的レーベル、ファースト・アメリカンから出たスタジオライブの本作はイングランド・ダン&ジョン・フォード・コーリーやマック・マクナリー、パーカー・マッギーと同テイストのポップ・カントリー盤。プロデュースはブラ・フォーのオリジナルメンバー、ボブ・フリック。さらにマーク・ピアソンと共にハーモニーを聴かせるのは現ブラ・フォーにマークと共に加入しているマイク・マッコイ、というわけでコレ、「お里が知れる盤」。発売はニールセン・ピアソンの活動を続けていたはずの1981年。


プレスリリースなんかを読むと画家でもあるらしい多彩なマーク。本作でもソングライティングを一手に引き受ける。とにかくアコギのカッティングに始まりサックスが良い感じで絡んでくる冒頭のA-1”We Never Saw It Coming”がタマラナイ。メロといいハモといい「裏イングランド・ダン&ジョン・フォード・コーリー」はこの1曲で決まり。S&Gっぽい繊細なA-3”Forever, One Day at a Time”やB-2”Greyhound”もなかなか。メロはカントリーのそれですが。また、マーティン・ルーサー・キングについて歌ったA-5”Fire in the Wind”も心打たれた。さらにB面にはスザンヌ・クリーに提供したカントリー B-1”I Tried Not Falling In Love”の自演版も。とにかくカントリーのヒューマンな側面が良く出た和み盤。かと言って、都会的な味付けも所々になされている所が重要。

しかしこれを聴いて、「ぺイジス」ライクなニールセン・ピアソンを耳にするとマア、ギャップを感じます。マイケル・マクドナルドなA-1”Two Lonely Nights”に始まる1981年の『Nielsen/Pearson』、そしてそのAORサウンドをよりTOTO寄りの洗練された西海岸ロックに仕上げた1983年の『Blind Luck』にはピータ・ウルフ、デビッド・フォスター、トム・スコット、ロビー・ブキャナン、ジェイ・グラスカ、スティーブ・ルカサー、マイケル・ランドー、カルロス・ヴェガら腕利きが大挙参加。


ちなみにこのキャピトルからの大名盤2作に先んじて1978年にはニールセン・ピアソン・バンド名義で『The Nielsen Pearson Band』(エピックより)をリリースしているのだが、こちらにはファラガー兄弟やマーク・ジョーダンなんかが参加。冒頭A-1”Home”は後の2作に繋がるトト系のAORながら、全体的にはポップ・カントリーから脱却しておらず、まだ気取りのないボーカルがツボ。A-2”Wasn’t That The Love”とかAメロはポップ・カントリーなのにサビではマイケル・マクドナルドやスティーリー・ダン・TOTOな音作りになってしまうという。折衷具合がなかなか微笑ましい。間奏はと言うと長閑なハーモニカになるし。いずれにせよ好曲多いです。フレッド・ノブロックとかビル・ラバウンティとかカントリーあがりのAOR好きなファンには来る音。生活感がまだあって。

さて、今回の主役マーク・ピアソンですが、バンド結成前にディラン『血の轍』のレコーディングメンバーとミネアポリスで録音した未発表ソロがあるらしい。聴いてみたいものだ。