いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

f:id:markrock:20190212213710j:image
いしうらまさゆき へのお便り、ライブ・原稿のご依頼等はこちらへ↓
markfolky@yahoo.co.jp

f:id:markrock:20190212212337j:image
[NEW!!]極北ラジオ石浦昌之の「哲学するタネ」が書籍化されました。 『哲学するタネ【東洋思想編】――高校倫理が教える70章』(石浦昌之 著)2018年9月発売!! ●石浦昌之著 ●定価:本体2500円+税 ●A5判(並製)384頁
詳細はココをクリック
注文はココをクリック

【書評掲載】
『情況』2018年秋号 田中里尚(文化学園大学准教授)「教えられぬことこそ語り続けなければならない―石浦昌之の実践について―」
『日本教育新聞』2019年3月18日 都筑 学(中央大学教授)「先哲から学ぶ人生の知恵」
ココをクリック

David Pomeranz

markrock2006-12-26

/ The Truth Of Us ( Pacific PC4302 / 1980 )

ゴッドファーザー・オブ・ソウル、ジェイムス・ブラウンの死。痛い。数年前のチャック・ベリーとのジョイント、双方老齢ゆえ30分ぐらいのステージだったらしいが行けばよかったと激しく後悔。

S&Gを手がけたロイ・ハリーと共同プロデュースしたデヴィッド・ポメランツの未CD化盤がとうとうCDに。もちろんレコードで何度も聞いていた盤だが、やはり良い。“たまらなくAOR”というコピーもコレなら許されます。「なんクリ」で日本での知名度を上げたわけですから。バリー・マニロウに提供した”Tryin’ To Get The Feeling Again”で売れるキッカケを掴んだ『It’s In Everyone Of Us』(1975)以来、これぞアリスタとでも言うような王道バラードのイメージが出来てしまったのだが、それは本盤一曲目M-1”The Old Song”にも引き継がれている。TVドラマ”成田離婚”にも効果的に使われた泣きの一曲。同じくバラードで言えば代表曲M-5”The Truth Of Us”も必聴。ただし、AORの文脈からそれるいくつかの曲も注目に値する。まず、ブルージーなM-6”Fat”。マイケル・フランクスのデビューが、ソニー・テリー&ブラウニー・マギー盤への曲提供だったように、デヴィッド・ポメランツもポール・サイモン参加のフォーク・ブルースなデッカSSW盤『New Blues』(1971)でデビューしていた。当時のAORファンからは無視された楽曲だろうが、これはルーツを思うと当然。さらにM-7”Old Home Town”だが、これはグレン・キャンベルの1982年盤のタイトル曲になったもの。日本ではAORなる独自文脈に取り込まれつつもカントリーのフィールドで堂々地位を確立しているアーティストにはビル・ラバウンティやジム・フォトグロなんかがいるが、デヴィッドもまかり間違えばそうなったかもしれないなと思わせられる。しかし彼、バブリーなトレンディ・ドラマの時代が今訪れているのではと思わせられるアジアに活路を見出していた。とりわけフィリピンでは60万枚売ったと言うのだから凄い。確かに、一部のファンの間であまりに高い完成度が評判になった1999年の再録ベスト盤『Born For You His Best & More』(フィリピンMCAユニバーサルより)を聴けば売れるのも当然かと。これぞAORバラードの王道、と言える”Got Believe In Magic”” Tryin’ To Get The Feeling Again”(バリー・マニロウ)、”If You Walked Away”(クリフ・リチャード、アラン・クラーク)、”The Old Songs”、”King And Queen Of Hearts”などを収録。日本盤も出るようなので、ポメランツ入門にはとりあえずこちらから手を出すのも良い。

ところで今回CD化された『The Truth Of Us』のディスク・ユニオン特典ではこの再録ベスト盤のボーナストラック”Singapore Girl”(売れているだけにやりすぎなタイトルですが)のCD-Rと当時の日本盤を再現した紙ジャケ帯がついています。