JJケイルが先、と言うのはクラプトンの敬意でしょうな。JJケイルとクラプトンの共同作品が出ました。来日公演と足並みを揃えて日本盤も出てますが、ボーナストラック無しとのことで輸入盤を確保。
ミスター・レイドバックとしてもちろんお馴染みのベテラン、JJケイル。”Cocaine”や”After Midnight”の作者でもあり、クラプトン自身「JJケイルになりたかった」とインタビューで語っていたこともあった程、70年代クラプトンのレイドバックした音作りのお手本になった人物だ。イギリス人のアメリカへの憧憬。しかし一緒に作品を作るほどだとマサカ思わなかった。BBキングに引き続き夢叶えたり、といった感じか。さて、内容もちょっと驚きで、14曲中11曲がケイルの作品となっており、クラプトンはケイルの世界観にどっぷり浸かって同化を試みると言う按配。クラプトンの自作はジョン・メイヤーとの共作M-8”Hard To Thrill”(メイヤー自身も参加)、M-10”Three Little Girls”のみ。また、スローなブルーズM-5”Sporting Life Blues”は両者の作ではなくブラウニー・マギーの曲。
しかし、このバランスが大正解だと言うことはM-1”Danger”で既に判明。どう考えても、なある種の「間」を持ったケイルの世界にクラプトンのボーカルが違和感無く載る。ギターソロで先陣を切っているのはクラプトン。しかしそれに継ぐケイルの音数の少ないソロが実に渋い。クラプトンは前作『Back Home』にしてもコンテンポラリーなボーカルものが続いていたので、何とも久々のブルーズ感覚が、良い!
シャッフルブルーズM-4”When This War Is Over”での両者のボーカルスタイルの違いも面白い。ケイルはヤハリ本物。他にも彩りは豊かでM-6”Dead End Road”はブルーグラス、M-10”Three Little Girls”はクラプトンには珍しく思いっきりフォークな3フィンガーの作品。M-3”Missing Person”みたいなお決まりのリフに渋いソロが絡む展開は本当に最高。レゲエロックM-11”Don’t Cry Sister Cry”はヒット性アリ。ちなみに本作、故ビリー・プレストンやタジ・マハールの客演も聴きモノです。
駄作の少ないケイルとは言え、この時期にケイル単独作なら手を出さなかったかも。ロック初学者ならクラプトンの名に惹かれて本場アメリカ南部のディープな音に触れられる側面もある一作か。う〜ん、なんともストラトが弾きたくなって参ります。しかしよく考えてみたらテレキャスしか持ってないですね…
どうでもいいけどJJケイルの深い皺の刻まれた顔、ダニー・オキーフみたいです。