/ Sings The Bread Hits ( CD 97091 / 2002 )
今月1回しか更新しないのもナンだなあと思い、久々に。CDやレコードはドンドン増えてまいります。最近では9月20日という再発日和もありましたし。
で、最近ebayでも色々未入手の品を探している所。そんな中、安値で見つけたのがこの1枚。ブレッドのデヴィッド・ゲイツ、ではなくて燻し銀の渋いシンガー・ソングライターのジェイムス・グリフィンのレア盤だ。2005年に惜しくも亡くなってしまった彼だが、これはとても死の数年前とは思えぬ力作。ここでは、ブレッドのヒット曲、しかも全てデヴィッドが書き下ろした楽曲("If"、"Make It ith You"、"Baby I'm Want You"、"Lost Without Your Love"、"THe Guitar Man"、"It Don't Matter To Me"など代表曲12曲)を、全く原曲の雰囲気を損ねない完成度でカバーしている。絶対コレ、”ブレッドのCDだと勘違いして買った客をガッカリさせない”というコンセプトのはず。とにかくジャケからしてどう考えてもジェイムスよりも「BREAD」の看板が目立つインチキ商品の体なのだが、ジェイムスの衰えぬ歌声にぐいぐい引き込まれる。ジェイムスはプライドそっちのけで本気カバーしてるんですよ。ブレッド時代はR&Bと相性のいいビターボイスで知られたのだが、ここでは割とソフトにデヴィッドの声域をカバーしているので見直してしまう。
何しろ芸歴は長いお方。今度別の機会に紹介しようと思うが、Jimmy Griffin名義で60年代には"Summer Holiday"などティーンポップをカバーしたアイドル盤をリリースしていたし(未CD化だがコレも意外と良い)、ブレッドでの華々しいキャリアを終えた後もリチャード・マニュエルの名唱で知られるバラード"She Knows"を含む『Breakin' Up Easy』含め2枚の名ソロ作をリリース。カーペンターズがヒットさせた"For All We Know"などソングライティングの腕も確か。さらにその後ナッシュビルに拠点を移し、カントリー畑にて、イーグルスのランディ・マイズナー、ビリー・スワンと共にブラック・タイを結成してアルバムを残したり、クリス・ヒルマンのデザート・ローズ・バンドもかくやと思わせるカントリー・ロック・バンド、レミントンズでも90年代初頭に2作を残したりしている。そう言えばレミントンズの1作目には、シンディ・ローパーの"True Colors"など80'sヒットの常連ライター、トム・ケリーが在籍していたバンド、フールズ・ゴールド(ダン・フォーゲルバーグのバックバンド)の片割れ、デニー・ヘンスンもメンバーとして在籍していた。
そうそう、元スウィンギング・ブルージーンズ〜ホリーズのテリー・シルヴェスターとの1981年のデュオ作『Griffin & Sylvester』もなかなかの出来だった。
ちなみにこの盤、悲しい位にペラペラの紙1枚でクレジット皆無。申し訳程度に書かれたプロデューサーの名Earl Sinksから、晩年に身を置いたカントリー系のプロダクションであることが推察できる。