友人からチケットを頂き、ありがたく・・・行かせてもらったライブ。テレビでも一部放映される模様。とにかく暑かった!夕方からは涼しい風が吹くようになったが。
葉加瀬太郎を中心に、大人のためのフェスティバルを謳っているだけあって、割とアクースティックな演奏が多かった。お客さんも家族連れや20代後半〜3,40代が多い感じ。演奏が簡素なだけに持ち曲4曲程で、殆どセッティングの時間も取らずに次から次へとアーティストが登場。記憶に残った所を列挙してみよう。まずなんとも爽やかな小野リサは暑さを忘れさせてくれたし、徳永英明の名曲をデビューヒット「桜」で借用してしまった河口恭吾は、そうした偏見を吹き飛ばすほどの好青年ぶり。会場を和ませてくれたし、昼間はサラリーマンをやっている人が多いだろう聴衆に「会社をやめて旅に出よう」などと言う新曲を歌ってしまうところが可笑しかった。
中川イサトの愛弟子、押尾コータローは流石のプレイ!ほんと流麗としか言いようのないテクニックで、マイケル・ヘッジスを思い出す所も多々あるのだが、オリジナリティも随所に見られ、手元に釘付けになった。ピックアップはサンライズ。良い音してますね。そう言えばギターデュオDEPAPEPEも出ていた。
アンジェラ・アキは30代目前まで力をつけてのデビューということで、近年のチンピラJ-POPとは一線を画した実力派。アメリカなんかではそういう苦労人も多いのだが、日本だと、お前の演っているのは音楽なのか、それともカラオケなのか、と冷静にも突っ込めないようなティーンズが多くて辟易する。特に90年代以降、粗製濫造が目に余る。そういう意味では彼女みたいな新鮮な音楽人がもっと見たい。"Kiss Me Good-Bye"では葉加瀬と共演。ピアノ弾き語りでもその歌声は力強い。一つだけ苦言を呈せば、余り歌詞が印象に残らないか。歌声は日本人離れしているのだからソングライティングのセンスが一段上がればまた別次元に行けそう。
Sing Like Talkingの佐藤竹善は冒頭からバリー・マン、ジミー・ウェッブ曲を立て続けに歌いAORマニアっぷりを見せつけ、観客を置いてけぼりにしていた。バリー・マンが書いたジェイムス・イングラムの”Just Once”なら判りますが、ジミーウェッブの1982年盤『Angel Heart』収録の”One Of The Few”なんて…、殆どの観客はポカンとしてましたよ。私はモチロン感動。彼が青森から出てきた時初めて住んだ街が横浜であり、いつかデビューしたら歌いたいと夢見ていた曲と聞き納得。”Seasons Of Change”や弾き語りで歌った”Spirit Of Love”といったSing Like Talkingのナンバーはやはり良かった。
さらに19年ぶりの再結成という渚のオールスターズは、日本が威勢良かった時代を思い出させるゴージャス舞台。新人も加入してましたが、それでも80年代な匂いがプンプン。ビーイング、今で言えばギザですか。かつてはほんとに勢いありました。白いスーツが今でも似合う織田哲郎にTUBEの面々、亜蘭知子、愛内里菜、miyu(ZONEのボーカル)、そしてムッシュかまやつ!!という布陣。前田亘輝の衰えぬボーカルが引っぱるステージであったものの、織田氏の渋いボーカルも健在。さらにムッシュ、スパイダース時代の”サマー・ガール”までが飛び出して、涙。それにしても“シーズン・イン・ザ・サン”とか”Be My Venus”とか…本当に久々に聴きました。それと共に、TUBEですら懐メロになっているという事実に衝撃。ラストは先輩に敬意を表して”Ban Ban Ban”。ムッシュも流石に「夏」だからか黒ずくめではなかった。
トリの葉加瀬太郎は山下達郎のキーボードを弾く難波弘之らを従え、ソツない演奏。正直3分間の歌モノポップスしか耐えられない飽きっぽい人種ゆえ、フュージョン風インストゥルメンタルは辛い場合が多いのだが、ポップスとのクロスオーバーを演っている葉加瀬ならでは、曲順にしても、ステージアクションにしても観客を飽きさせぬ術を心得ていた。
ところで今年のウドーストック、サンタナやドゥービー、キッスの来日が喧伝されてましたね。しかし、蓋を開けてみたら惨憺たる状況。何しろライブハウス強の人数だった模様。会場選べばいいのに、と思う。豪華な出演者だけで引っ張る殿様みたいなフェスティバル作りするんじゃなくて、今日みたいな家族にも優しいライブを、やるべきです。