/ In The Name Of Love ( TELARC 83545 / 2003 )
70歳をまわったベテランジャズボーカリスト、フレディ・コールの近作。00年代に入ってからも毎年のようにCDをリリースしているのが凄い。この盤に手が伸びた理由は、まずM-1”Harbor Lights”(ボズ・スキャッグス)、ルー・パーディニ作M-2”Just To See Her Again”(スモーキー・ロビンソン)、M-3”Have I Told You Lately That I Love You”(ヴァン・モリスン)、ビル・ウィザースも曲作りに加わったM-4”In The Name Of Love ”(ラルフ・マクドナルド)という冒頭4曲。クワイエットストーム系楽曲を料理しているともなれば聴かないわけにはいかない。聴いてみると、もろスムース・ジャズの音。AORファンにタマラナイ楽曲も含んでいるし、ボビー・コールドウェルやマリリン・スコット、ブレンダ・ラッセルなんかの近作が好きな方にはピンポイントの音だ。しかも初めは迫力を感じなかったフレディの老いた囁きも、聴き続けるうちにバックに馴染み、実に快適!クレジットを見てみると、プロデューサーはジェイソン・マイルズ。彼は2000年にブラジルの名ソングライター、イヴァン・リンスのトリビュート作『A Love Affair − The Music of Ivan Lins』をプロデュースした人物だ。スティングにヴァネッサ・ウィリアムス、チャカ・カーン、ニューヨーク・ヴォイセズ、ダイアン・リーヴス、ブレンダ・ラッセル、グローバー・ワシントン・Jr…、そしてイヴァン自身も参加したその豪華なアルバムにはフレディも参加していた。それがキッカケで本作のプロデュースをジェイソン・マイルズが手がけている、というわけでトリビュート作に含まれていたM-6”I’m Not Alone(Anjo De Mim)”、ブレンダ・ラッセルとの共作M-5”Remember Me”(Jane Monheiteとのデュエット)の2曲のイヴァンソングスを収録。その他ではボニー・レイットの名盤『Luck Of the Draw』(1991)に入っていたバラードM-10”I Can’t Make You Love Me”がとてつもなく沁みた。