/ LIVE 新宿発・謎の電車 ( アルタミラミュージック / 2006 )
いいですねえ。シバさんの大満足74分のフルライブ盤!『タカダワタル的』や『ゴールデンカップス・ワンモアタイム』で名を上げたアルタミラミュージック(最近アルタミラは"バタやん"こと田端義夫の映画を作っているとか。ほんといいとこ目をつけますね。)よりリリースされた新作だ(いせやレコード第2弾)。日本のブルーズというと日本語派と英語派に分かれるが、シバさんはもちろん前者。フォーク界の住人でありながら、演ってる事はあくまでブルーズ。ハープにギターともに達者な腕前。口を余り開けずにしゃくりあげるように歌うのが実に皮肉っぽくて(失礼)、ひょうひょうとした彼らしい。さらに、なぎら健壱撮影のジャケ写含め、ガロ系の漫画家(三橋乙揶)としても知られる彼のアートワークは実にアングラな匂いを放っている。これまた失礼ながら、いつまで経っても売れ無そうな感じがなんともいい。録音は2005年新宿のネイキッド・ロフトでの録音が中心。
冒頭M-1”愛の国道20号線”からブルーズマン然としていれども、“落ち込んでばかりはいられねえ”とばかりにあくまで前向き。次にM-2”いつでもブルーズ”が始まってビックリ。思いっきり外を走る車の音が入ってる。実にリアルだ。土ぼこり舞う路上にて歌う、男のブルーズ!って感じでしょうか、想像力を逞しくすれば。ギタープレイも最高。旧友高田渡のM-3”夜風のブルーズと”M-4”酒”は、これまた大名作2003年の『シバ 高田渡を歌う・毎晩夜通しおきていて』に既に収録されていた。M-14の代表曲”バイバイブルーズ”は、高田渡・送る会(武蔵野公会堂)での涙の音源。戦前歌謡風なM-9”星の明日”も気になった。
友人のフォーク歌手、松田亜世くんのワンマンライブ、お世話になっている幕間での恒例ラジオコーナー、「世代を超えたフォークな世界!!」の第2回目特集にはシバさんが選ばれた。やっぱり日本のフォークを考える上では重要人物の一人だ。激貧ゆえ「タンポポを食べていたという伝説」を持つ彼、”武蔵野タンポポ団”命名の由来にもなっている。そのタンポポ団の代表曲”淋しい気持ちで”、”もしも”は共にシバの曲。欲を言えば本ライブ盤にもここら辺を入れて欲しかった。でも、最近は歌っていないのかもしれないし、またその辺りの人気曲を入れないのも、シバらしいと言えばシバらしい。