/ Not A Through Street ( Priority[CBS] /1983 )
全く期待できないAOR風味のジャケ。サマにもなっていない。しかも値段は20円。レコは金じゃないと思うが、それでもジョニー・リヴァース!と思い購入。おそるおそる聴いてみると、中身は意外にもむちゃくちゃ出来良し!クレジットはないが、ちゃんと生音してるし、60年代のソウルクラシックを、自然体リヴァース風に構築し直した感じ。曲目を言うと、サム・クックら A-2”A Change Is Gonna Come”、フォー・トップス A-3”Reach Out”、ベン.E.キング A-4”Stand By Me”、マーヴィン・ゲイ B-3”How Sweet It Is (To Be Loved By You )”、ディオン B-6”Golden Sun,Silver Moon”などなど。こういう音をもっとエグく作りこむとヒューイ・ルイス&ザ・ニュースみたいになるのではないだろうか。一応ソロはサックスだし。これがなんともエイティーズ!ソウルバラードでは、ラリー・ネクテルがデヴィッド・マイナーと共作したA-6”Believe In Me”なんてのも沁みてくる。元ブレッドのキーボーディストでもありS&G"明日に架ける橋"での崇高なピアノプレイでも知られるラリー・ネクテルですが、この曲、彼の1990年の2枚目のソロアルバムにも収録されてます。 B-1はLuther Ingram 1972年のヒット”Shelter In Time Of Storm”のカバーですが、この曲スティーヴン・スティルス1970年のヒット ”Love The One You’re With”にソックリですよね。ニューソウルに呼応したスティルスの名曲をサザンソウルの名ライターコンビ(Homer Banks、Carl Hampton、Raymond Jacksonですか)が頂いちゃったということなのか。実は共通の元ネタがあるとか、詳しい方は教えてください。
最近こうしたオールディーズのカバーものを見直している。やはり曲が良く出来ている。これだけ世の中に曲が溢れてくると、大滝詠一言うところの分母分子じゃないが、ビートルズに影響を受けたJポップバンドに影響を受けたアーティストの曲、みたいな薄められた楽曲ばかりが流布している気がする。なんか聴いたことあるな、という例が思いつくだけでも幾つか挙がってしまうほどに。別にビートルズを神格視・オリジナル視するわけでもない。彼らの音ですら、当時存在したあらん限りの音楽を剽窃して構築されたものであることは確かなのだ。しかし、であるにせよ、ビートルズに影響を受けたバンドに影響を受けて曲作って、大本のビートルズ超えられるんだろうかって話。まあそんなこと考えてると、曲を作るという行為自体が空しくなってもくるだろう。ということで、まあとり合えずはポップソングのマスターピース達、こいつらを掘り下げていかないといけません。まだまだ先は長いですが・・・。