/ Twilight of the Renegades (Sanctuary 359 / 2005)
今さら、だが、好評の5枚組に続き9年振りの新作まで飛び出してきたジミー・ウェッブ。ボーナストラック入りの日本盤に先じて輸入盤を買わずにはいられなかった。気になる仕上がりは、少々安上がりなプロダクションというか、打ち込みトラックを含む分、前二作に比べ粗雑に見える所もあるが、自身のピアノで綴るメロディと詩が豊かな映像を喚起させるウェッブ節は健在。人生の夕暮れを迎えた熟年亜米利加男性の眼差しで、夢やロマン、走馬灯の如く蘇る過去、そして現在を濃密に愛情籠めて描ききる。のっけからウェッブが尊敬するゴーギャンの南洋行を綴る壮大なM-1"Paul Gauguin in the South Seas"に圧倒。M-2"Skywriter"はArt Garfunkelの名唱で知られるバラード。来日公演初日でのリクエストに応じた熱唱は忘れられない。サビでエコーをかけたりしているが、"Ten Easy Pieces"スタイルで弾き語るには勇気が要ったのかも。メキシコとの国境近く中西部のイメージで迫る本盤だが、"By The Time I Get to Phoenix"以来彼が得意とする、広大なアメリカ大陸でこそ通じるだろう空間を隔てた郷愁をしみじみと聴かせるM-5"Spanish Radio"もなかなか。優美なM-6"Time Flies"はMichael Feinsteinや自身の演奏でも御馴染み。白眉はKenny Rankinに提供したM-9"She Moves..."の自演か。ちなみに80年代の『Angel Heart』のアウトテイクと思しきM-8"High Rent Ghetto"、M-12"Driftwood"は亡きJeff Porcaroや妹Susanのサポートにグッと来る。M-3"Why Do i Have To"、M-7"How Quickly"でのBeth Nielsen Chapmanの客演も見逃せない。さて至福の新作に続く一手はなんと盟友グレン・キャンベルとの邂逅。ますます目が離せない。