/ Do I Love you (Private Stock PS2018 /1976)
この人誰、と言いたくなるようなこのギョロ目の男は、イタリア系のクラブ歌手、ピーター・レモンゲロ?(すごい名前)。ジャケで損をしているが、Private StockからのMORの王道盤で彼自身の唯一作。全編Guitarに Lee Ritenour、DrumにMike Bairdが、Back Vo.にはNigel Olssonが参加するなど、統一感のある音作りがAOR的な視点からも評価出来る。プロデュースがJay Senterいうのも見逃せない。Jay Senterは、Bill LaBounty、Steve Eatonが在籍したFat Chanceを手がけて以来、両者のソロ作のプロデュースを務めている人。他はSammy Jones盤が思いつくくらいで、プロデュース作品数もそう多くないため、Jay Senterと見ただけで”買い”、のファンも少なくない。全編のアレンジ、キーボードは前述のLaBounty盤にも参加しているジャズメンのMike Melvoin。
さて中身だが、まずA-1”That’s A Melody”はAndy Goldmark作。出だしはポピュラーボーカルものの趣だが、サビに至れば軽快でグルーヴィーなシティポップ。A-2”Miss You Nights”はSurfaceで後に成功するDavid Townsend作の名バラードで、Cliff Richard、Art Garfunkelの歌唱でも知られる。ドラマチックに歌い上げるPeter Lemongelloさん、クラブ歌手にありがちなタメもさほどなく、聴き易い。Mike Melvoin作のA-3”When I Think Of You”はこじんまりとした佳作。次なるA-4”The Hungry Years”は、言わずと知れたNeil Sedakaの70年代における復帰後の代表作。そちらはRocketからの作品でElton人脈からNigel Olssonも参加していた。過不足無く歌い上げるPeter Lemongelloを聴いていると、目指すところはこのあたりだったのかと納得。A-5”All You Get From Love Is A Love Song”はあのThe Carpenters版が印象的なSteve Eaton作品。実にポップな名曲。A面で既にオナカ一杯だ。
次に、B面はバラード一辺倒。タイトル曲B-1”Do I Love You”はSedakaと両巨頭とも言えるPaul Ankaの壮大な作。B-2”If You Walk Away”はDavid Pomeranz作のこれまた名曲。David Pomeranzのアリスタ盤It’s in Everyone Of Usにも収録されていた。B-3はRandy EdelmanのピアノSSW名盤Prime Cutsに収録されていた”Where Did We Go Wrong”。オリジナルに匹敵するアレンジと歌唱だ。B-4のC.Arnold-D.martin-G.morrow作”From Red To Blue”はBarry Manilowなんかも思い起こさせる。ラストB-5”You’ll Never Know”はエンゲルベルト・フンパーディンクで知られるスタンダードだが、なかなかビートの利いたドラムスが、平坦なバラードになるのを防いでいる、アレンジ勝ちな一曲。
とにかくこの盤、捨て曲なし。