/ Sandstone Cathedrals (Mineral River MR 1005 / 1982)
60年代から活動を続ける良心的SSWの80年代に残した佳作。ウィダムヒルっぽいジャケット。中身は80年代という時代にお構いなしなアクースティックな手触り。バリバリとアコギのカッティングで幕を開けるのはA-1”Just For Love”。後半はヨーデルの才能をいかんなく発揮。冒頭からいい気分になれる。A-2”Eyes To Eyes”はCraig Nuttycombeのマイナーキーの曲を想起させる。そういえば鼻にかかった歌声が彼と良く似ている。ピアノとギターのアルペジオのハーモニーが美しい。A-3”Ol’Pen”はミシシッピ・ジョン・ハート節全開の3フィンガーによるトーキングもの。A-4”Flowers In The Game”とともに60年代フォークシーンが蘇る感動的な出来だ。A-5”The Faith Of Man”は落ち着いたバラード。たぶんこの人はすごく好い人なんじゃないか、と何の根拠も無く思えてしまう。さてB面。タイトル曲B-1” Sandstone Cathedrals ”はガットギターの響きがMichael Johnsonの趣き。B-2”Coyote”もその流れでMichael Johnsonの73年盤There is a Breezeを思い起こさせる。カントリーに根ざしていながらサラッとした鼻声で歌うので、ちっともいなたい感じがしない。後半のフィドルもさりげない好曲に彩りを添える。B-3”Northland”はギターのカッティングが北アメリカの広大な大地を思わせる。John Denverの有名曲”Rocky Mountain High”と被るイメージか。B-4” Sueño”はスパニッシュを織り交ぜたありがちな楽曲。B-5”Where I Live”はフォークの伝統を感じさせるとても良い曲。3フィンガーが流麗だ。ラストのB-6”Down The Road”はブルーグラスっぽくバンジョーが入ってくるかと思えば、ソロはサックス!実に渋い。この1曲で本盤は華やかに幕を閉じる。Gordon Lightfootっぽい感じもする。
Nanci GriffithやJerry Jeff Walkerにカバーされている彼の楽曲のクオリティの高さを実感できる一枚だ。