/ If You Don't Want My Love (Columbia CS9687 /1968)
Bobby Pedrick Jr.として50年代からもキャリアを持つRobert Johnが、"The Lion Sleeps Tonight"のヒットに先立つ1968年に残したポピュラーアルバム。3曲を除きCharie Calelloがアレンジを担当している。当時飛ぶ鳥を落とす勢いで気品のある佳曲を産み出していたJimmy Webbからは"By The Time I Get to Phoenix"、そしてJimmyも影響されたBacharach/Davidからは"Anyone Who Had A Heart/What The World Needs Now Is Love"をメドレーで欲張りに選曲。Smokey Robinsonの"Ooo Baby Baby"もハマっている。その他のカバー、"I'm A Believer"と比べて聴いてみても、細く高い女性的な声域がロックンロールよりもバラードとの相性が良いことは明らかだ。そうした中で一際光るのは自作タイトル曲"If You Don't Want My Love"。Bacharachに引けをとらない大名曲である。そうなるとAl KooperあるいはRobertとの共同プロデュースで作品を残しているタイトル曲の共作者、Michael GatelyのLPも探す価値がありそうだ。さて、Christopher Crossとともに顔に似つかわしくない美声を誇るRobertだが、メロウな"Sad Eyes"のヒットで、Barry Gibbの頑張りによりファルセットが復活した当時の音楽シーンにタイミングよく滑り込むことができた、1970年代後半〜80年が全盛期。AORとしてパッケージ化された商品が巷に溢れたこの頃Robertがカバーした"Sherry"や"Hey There Lonely Girl"(1980年のBack on the Streetに収録 )などのオールディーズクラシックからは、80年代のクリアなサウンドでアメリカンポップスを再構成し始めた同時代人の流れに足並みを揃えていたことが伺える。