いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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【書評掲載】
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『日本教育新聞』2019年3月18日 都筑 学(中央大学教授)「先哲から学ぶ人生の知恵」
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Bread / Same (Elektra / 1969)

markrock2018-06-07


やっとこさ手に入れたブレッドのファーストのLP。そこまで熱心に探していたわけではないけれど、手ごろな価格で…と思いつつ10年以上。ブレッドのオリジナル・アルバムは1976年の再結成盤まで計6枚。USオリジナルLPだとセカンド以降は中古屋に行けば1000円前後くらいで沢山落ちている。しかしファーストはかなり数が少ないと思う(正直滅多に見かけたことがない)。ブレイク前だし、カットされたシングルもそこまで売れていなかったからだと思う。そんなわけで、イギリスの中古屋から購入。ジャケットにコーヒー染みがあるとかでレコ自体は200円くらい。送料込みで2000円ちょっとなら許せるでしょう。昨日届いたけれど、UKオリジナル・プレスで盤はピカピカだった。そして音は激良し。特にベースをはじめ各音の粒立ちがよい。CDは長らく愛聴してきたけれど、LPでのエレキの音のエグさは別物。原音に近い爆音レコでした。歌詞カードはA4一回り小さいサイズ。

バンドとしてのデビュー前からソングライターやプレイヤー、歌手としてキャリアがあったデヴィッド・ゲイツに加え、黒っぽいロック・マインドをもったジェイムス・グリフィン、デヴィッドがプロデュースしていたプレジャー・フェア(モータウンから白人SSWとしてソロ・アルバムを出しているスティーヴン・コーンも在籍)のロブ・ロイヤーのトリオ。ドラムスはサンクス・クレジットがあるから、ジム・ゴードンかな。ロブの後釜に入るのは”明日に架ける橋”でピアノを弾いたLAのスタジオ・ミュージシャン、レッキング・クルーのラリー・ネクテルだった。大好きになる60年代ポップスがみんなレッキング・クルーの仕業だったと知ったときは驚いた。だから、そんな60年代ポップスの裏方が作ったブレッドを嫌いになるはずがなかった。

”Dismal Day”や”London Bridge”のポップさと言ったら…”It Don’t Matter To Me”はデヴィッド中心に作り上げられる、後のバンドの世界につながる。後の”Make It With You”あたりになると黒人ミュージシャンのカバーも数多く残されている。そうしたデヴィッドの音楽的センスや幅広さには目を見張るものがある。さらにジェイムスのギターのカッティングでグイグイ引っ張っていく”Any Way You Want Me”もいい。地味に見えて”Don’t Shut Me Out”なんてのもビートルズ的なポップとロックの按配がちょうどよくて。60年代最後の年という時代を反映して、結構プログレッシブでロックな展開も。何より、互いの立ち位置を入れ替えても弾き、歌うことができるというマルチ・ミュージシャンっぷりに惚れ惚れしてしまう。ジェイムスがブレッドの代表曲を歌っているアルバム(2001年にオランダでリリースされた『JAMES GRIFFIN SINGS THE BREAD HITS』)があるんだけれど、デヴィッド曲も全く同じ声域・同じフィーリングで歌えていたのには驚いた。さらに90年代のライブでは、本家ラリー・ネクテルのピアノでサイモン&ガーファンクルの”明日に架ける橋”をジェイムスが完璧に熱唱したりもしている(ジェイムス作でカーペンターズも取り上げた”For All We Know”とメドレーで)。これは1997年のライブを収めたブート『Live In Las Vegas』で聴くことができる。