なかなか気候のいい季節になり、窓を開けていても外気とひとつになれるようで過ごしやすい。とはいえ秋田の雨、川の増水のニュースもあり、心配になる。そういえばターンテーブルには先日のレコード・ストア・デイ2018で手に入れた、永井博デザインのマットが載っている。ときどきターンテーブル・マットを入れ替えると気分転換になる。永遠の夏、って感じがとても良いし、太陽がじりじり来るけれどカラッとしたアメリカの夏の気候が肌に感じられるようだ。
さて、ダニー・クーチの新作自演盤、当然のことながら購入。ウェスト・コースト・ロックの要、ジェイムス・テイラーやジャクソン・ブラウン、キャロル・キングのバックを務めたギタリスト。本作にもジェイムス、ジャクソンに加えデヴィッド・クロスビー、マイケル・マクドナルドが奥ゆかしく参加。日本盤をリリースしたVIVID SOUNDが力を入れているようで、招聘ライブやサイン会もあるとのこと。昨年だったか、渋谷のタワレコで松任谷正隆さんのイベントがあったときに、お店にダニー本人がいた、ということなんかも思い出す。こんなリリース・パーティ気分のときにはケチをつけず、お布施を納めて(笑)、お祭りとして楽しむのがよさそうだ。音楽の世界を延命させるためにも。それにしても6月に予定されているライブの方、日本のキャロル・キング五輪真弓(キャロル・キング&ザ・セクション参加の初期作は特に感動的!)や小坂忠の参加はわかるとして、奥田民生(かつて共演していたんだけれども)なども参加するとのこと。実は好きでした、という人も後を絶たず、ミュージシャンズ・ミュージシャンの雰囲気もある。
昨年の来日以来気になっていて、盤ができる前からYouTubeなどで現バンドのライブの音は聴いていた。メンバーに振ったボーカルがちょっと弱いかな、などと思っていたけれど、CDの音は問題ナシ!かなり良かった!何と言っても「せーの」で録ったというライブ感が素晴らしい。音楽の世界はもう後戻りできないところまで来ちゃっているんだけれど、音楽はそもそもこうだったよね、という感じ。百戦錬磨のザ・セクションからラス・カンケルとリーランド・スクラーが参加。リーは病のマイク・ポーカロに代わりTOTOのメンバーもやっていた。クレイグ・ドージの代わりにキーボードはジム・コックスが。他に名手ワディ・ワクテルとスティーブ・ポステルという、まあ万全のオールスター仕様ですね。冒頭セルフカバーされている”All She Wants To do Is Dance”はイーグルスのドン・ヘンリーのソロ作より。その曲に代表されるようにダニー・クーチのプレイは今のご時勢、激シブな極めてブルージーなもので、60年代にデビューしたキング・ビーズから一貫している。同じくドン・ヘンリーものでは”New York Minute”みたいな日本人好みのメロウなバラードもあるけれど、それにしても結構硬派だし。
残念ながらデビューできなかったバンド、フライング・マシーン(ジェイムスが”Fire And Rain”でその失意を歌っていた)を組んでいたジェイムス・テイラーが取り上げた”Machine Gun Kelly”のような代表作もジェイムス参加で収録。ジャクソン自身が参加した”Somebody’s Baby ”も、青臭いオリジナルの甘酸っぱさが聴こえてくるようで、粋なつくりだと思う。そういえば、DVDも出たキャロル・キングの2017年最新作『TAPESTRY: LIVE IN HYDE PARK』にもダニーは客演。これはキャロルのメロディのよさもあり、冒頭から涙が止まらなかったという。最近涙腺が緩んでます。
それにしても、名盤探検隊な時代に「ジョー・ママ!」「ザ・シティ!」「クーチ!」と叫んでレコードを掘っていたぼくと同世代の人達は今どこで何をしているんだろう。何となく、ライブには結局白髪のオールド・ファンが集まるような予感も。ワカリマセンが。
デヴィッド・フォスターらと組んだグッドニュースにアティテューズ。本作のタイトル曲「Honey Don’t Leave LA 」はアティテューズ盤にも収録されており、ジェイムス・テイラーが1979年のヒット作『JT』で取り上げた。ダニーの1980年のソロアルバム『Innuendo』は西海岸ハードロックにつながる世界も(Bon Joviのプロデュースもやっていた)。