/ A Lick and A Promise ( 自主 / 2010)
グッドタイム・ミュージックのファンの中ではすでに話題になっていたジェイク・ジェイコブス(マジシャンズ、バンキー&ジェイク、ジェイク&・ザ・ファミリー・ジュエルズ、ジェイク・ウィズ・ファミリー・ジュエルズ)の”Jake And The Rest Of The Jewels”名義での新作。バンキー&ジェイクでの前作はココで紹介した(http://d.hatena.ne.jp/markrock/20090207)。長門芳郎氏の元で新作リリースの噂もあったけれど、結局自主盤でのリリースと相成った。今音楽ビジネスはレコード会社通さない方が実入りも良いし、自由だし、昔じゃ出来なかったことが一人でできちゃうってとこなんでしょうね。私はアメリカのCDBaby(http://www.cdbaby.com/cd/jakeandtherestofthejewel)から買いました。
出来は素晴らしいの一言。久々に5回くらい聴き続けちゃいました。1回聴いて全てを理解できちゃう音が多い中、こんな音は久々だな…音楽の魔法にかかるという感覚。今は無きグリニッジ・ヴィレッジのフォーク・シーンに思いを馳せつつ。ボーカルはクレイグ・ナッティカムの近作にソックリのホノボノ感。クレジットを見ると、昨年3月に亡くなった相方の黒人女性歌手バンキー・スキナーが参加したトラックが5曲あって。ジャケの中にはバンキーの姿があるんだけれど、かなり衰弱が激しい模様で心が痛んだ。この辺も新作のリリースが遅れた理由だったのだろうか。昨年4月には完成した新作からバンキーのボーカルと共に、ジェイクはマンハッタンで追悼の意味も込めたライブを行ったようだ。
他には元マジシャンズ仲間で、ケニー・ヴァンス&ザ・プラノトーンズでも活躍するゲイリー・ボナーやフィフス・アヴェニュー・バンドのマレイ・ウェインストック、ラヴィン・スプーンフルのジョー・バトラー、NRBQのテリー・アダムスに故、と書くのがとても辛いトム・アルドリーノが参加。
フォークにドゥ・ワップをはじめとした黒人音楽がブレンドされているのが、アメリカン・ミュージックの奥行きを感じさせてくれる極上の和みのひととき。ジュエルズの生き残りなんて言うバンド名は老年の心境を思わせるけれど、粋なジャケ写も良いですな。派手なブルーのギターに、ブルー・スエード・シューズ。内ジャケの壁にはローラ・ニーロが飾られている。ディランのサブタレイニアン・ホームシック・ブルーズの、ポピュラー・ミュージック史で最初期のプロモーション・ヴィデオがあったけれど、それを思わせる、HEYってプラカードを持ってボーダーシャツに真っ赤な帽子を被ったジェイクの写真も良かったし。
こんなのを待っていたんだなぁと思うと同時に、次にCD作るんだったらこんな仕上がりが良いかななど思うのでありました。