/ Pennies In A Jar ( S-Curve / 2011 )
コレ、まだ日本盤が出ていないようだけれど、ムチャクチャ良い!!カニエ・ウェストなんかとツアーした経歴もある女性R&Bシンガー、ニッキ・ジーンの満を持してのデビュー作。コロンビアと契約しながらも、3年間飼われただけで自作品にGOが出なかった、なんて過去があるらしいけれど、だからといってはなんだが今作は、レジェンド中のレジェンドとも言える作曲家と12曲全曲共作というありえない展開。コロンビアも悔しがったかどうか。一体いくら制作費がかかってるんだろう…と要らぬ心配をしてしまう。
その共作ライター陣というのが、トム・ベル、バート・バカラック、バリー・マン&シンシア・ワイル、キャロル・キング、ボブ・ディラン、ラモン・ドジャー、ジェフ・バリー、ポール・ウィリアムス、ジミー・ウェッブ、カーリー・サイモン…という、60年代から現代まで、ほぼいちジャンルともいえるほど、何十曲ものヒット曲を生み出し続けてきたミュージシャンばかり。クラシックでいうならば、ベートーヴェンとチャイコフスキーとモーツァルトとグリークと共作しました、みたいな感じですかね、有り得ないことですよ!
さて、ニッキ嬢、全く物怖じすることなく歌っている。ジャケからして、もっとヒップホップの要素も含んだR&B寄りの作品かと思ったけれど、意外にも白っぽく、生音で歌心のあるトリビュート作品に仕上がっていた。音作りもモータウンだったり(“My Love”は最高!)、ウォール・オブ・サウンドだったり、フィリーだったり、マニアックな再現具合で。45回転を聴いているような気にもなる。
ライナーを読むと、今作の発端はキャロル・キングのメガヒット・アルバム『Tapestry(つづれおり)』の現代版を作る、というニッキのアイデアにあったようで。どうりでジャケ紙がつづれおりと同じタッチになってるわけだ。なかなか彼女、ポップスの歴史を深く、楽しく理解してきた人物とみた。捨て曲なんか、あるわけなし!
Nikki Jean “Pennies In a Jar”
01. How To Unring A Bell (Thom Bell/N. Jean)
02. Steel & Feathers (Don't Ever) (Bob Dylan/N. Jean)
03. La Di Da Di Da (Luigi Creatore/N. Jean)
04. My Love (Lamont Dozier/N. Jean)
05. Pennies In A Jar (Burt Bacharach/N. Jean)
06. What's A Girl Supposed to Do? (Jeff Barry/N. Jean)
07. Rockaway (Carole King/N. Jean)
08. Million Star Motel ft. Lupe Fiasco x Black Thought (Bobby Braddock/N. Jean)
09. Patty Crash (Paul Williams/N. Jean)
10. China (Jimmy Webb/N. Jean)
11. Mercy Of Love (Barry Mann/Cynthia Weil/N. Jean)
12. Sex, Lies & Sunshine (Carly Simon/N. Jean)