/ Go on … ( RCA / 1987 )
最近新聞を読んでいてよく文化面で取り上げられるのが、出版&レコード業界の不況。本とCD・レコードっていう、個人的には人生の全て(こんなこと家族に言ったら怒られますね…)と言えるものを提供してくれている業界が危機に立たされている、というわけで。これはヒトゴトでは居られない。音楽の話で言うと、渋谷HMVの閉店ですか。新星堂同様HMVは経営再建中のようで、吉祥寺店も潰れちゃったなぁ。HMV、タワレコ、ヴァージンといったメガストアにはじめて行ったときの興奮はいまだに忘れられない。検索で欲しいモノの有無が一発でわかる今とは違って、足で店を一軒一軒回ることに意味があった。外国へ行く友人や親戚がいたら、あのCD買ってきて、なんてお願いをしたりね。アマゾンもなかった時代のことだけれど、それもそんなに昔のことではない。ここ10年余りでの我々を取り巻く劇的な変化って一体…
でも、まだまだ望みは捨てたもんじゃなくて。アメリカほど広大な土地を有する地域なら、ソフトをダウンロードや通販に頼むのも解らなくはないけれど、日本ならまだまだ地域の店舗に未来はあるということだ。本でもCDでも、中古盤屋さんでも、セレクトショップにいまだに魅力や需要があるというのなら、1冊の本やCDから広がる未知の世界があるってことを実際のお店でじかに提示することなのかな。ただ売る時代はもう終わったということで、小売店のある種の工夫や経営努力は音楽文化を今以上に豊かにするのではないかと思っている。
そしてそして、ダウンロードやコピーばかりが横行しているけれど、音楽を愛する以上、対価を支払うことが大事だ。良い音楽には、対価を支払う。当たり前だけれど、フリー・ライブに行ったらCD1枚買う、とかね。インターネット社会になってから、無料が当たり前、ってな感覚が根付いてしまっているけれど、それは違うと思う。例えばユーチューブはミュージシャンが汗水垂らして作った音楽財産をごっそりと奪って、自分の儲けにしてしまっている。本当は音楽に支払われるべき対価を奪っていると言うことだ。以前たまたま、友部正人のBBSを見ていたら、友部氏がユーチューブからの削除を求めたとき、若いファンから「がっかりした」という声があったことがあった。何の情報もない若者に、友部さんの音楽を紹介する際、URLを送るだけで済むユーチューブは簡便で有効である、と。その利点を積極的に利用しているミュージシャンも居ることは確かだけれど、友部氏の反応は長い目で見て間違っていないと思う。ただこうした現状は、CDという複製可能なデジタルメディアが登場した1980年代初頭にすでに、予期されていたことでもあった。
ならば何を為すべきか…ミュージシャンは良い音楽を作り、リスナーは対価を払うこと。これに尽きるのではないだろうか。日本のCDは高すぎる、とか、ミュージシャンへの実入りが少ない、とか、色々あるけれど、音楽文化を死滅させないためにはそれっきゃないのかな。インディで動くには、現在のネット環境の整備はむしろミュージシャンに吉でもあるし。ただ、無くなってはいけないのは、ライブに行って、CDを買って、という当たり前の消費行動。コレがないとミュージシャンは間違いなく死滅しますね。
てなわけで、今日もCDを買ってこよう…ごちゃごちゃ言っても、レコキチにとって結局のところ結論は一緒なんですけどね。
今聴いているのは、MR.ミスターの1987年盤。ペイジスがAORファンに受け入れられているのに対し、同じリチャード・ペイジ、スティーヴ・ジョージ率いるMR.ミスターは80’sポップロックとしての受け入れしかなされていない。コーラス隊の一員としてもセッションメンとして引っ張りだこだったリチャード・ペイジとスティーヴ・ジョージに商業的成功をもたらしたバンドだった。今聴いても上質のサウンド。現在、リチャード・ペイジはソロ新作のレコーディングを終えたようだ。
昨年より息の長いヒットになっているベテランバンドTrainの”Hey , Soul Sister”。ウクレレを効果的に使った、レゲエビートの佳曲!そのサビに
Hey soul sister, ain't that mister mister on the radio, stereo
The way you move ain't fair you know
Hey soul sister, I don't wanna miss a single thing you do tonight
なーんて、ラジオから流れるMR.ミスターの名前が入ってました!しかし、このバンド、今英米でどれくらいの人に知られているんだろう。