いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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Steve Perry / Traces ( fantasy / 2018 )

markrock2018-12-08


ロシアから荷物が届いて何だったかな、と思ったら以前e-bayで注文したスティーブ・ペリー25年ぶりの新譜だった。タイトルは『Traces』(軌跡)、いや、てか奇跡かな、と。今年10月5日リリース。『FOR THE LOVE OF STRANGE MEDICINE』が出たのは1994年。これはリアルタイムで覚えている。それ以来と言うことか。ずっと出るか出るかと言われていてリリースが延びていたもの。言わずと知れたジャーニーのボーカリストだけれど、その美声を失ったとされ再編ジャーニーにも参加せず。ただ映画にもなったけれどスティーブに最大限のレスペクトを示すフィリピン出身のアーネル・ピネダYouTubeにアップした動画をメンバーが目にし、スティーブと全く同じ声で全盛期の楽曲を演奏することになるというマジカルな出来事もあって。

ティーブももう69歳、ハイトーンは正直もうダメかと思ったけれど、このアルバム、伸びやかな歌声が復活していてビックリした!かすれもありません。YouTubeで視聴したときはなぜか衰えを感じたんだけれど、ちゃんとオーディオとスピーカーで再生してみたところ、凄まじく良く聴こえて。当たり前だけれど、再生機器は重要。


リード・トラックの”No Erasin’”が強烈だけれど、ジャーニー全盛期の良いトコどりのような全編美メロの洪水。やばいです。ミディアムの産業ロックからバラードまで、ジャーニーのファンのツボを理解した楽曲。裏返るギリギリのいちばんスティーブらしい声域をわきまえている。唄い回しの「ウォーウ ウォーオ」ってなフェイクがスティーブそのもので。マスタリングはボブ・ラドウィグなんですね。音も良い!おなじみランディ・グッドラムとの共作”Most Of All”もあって、この相性の良さは『Street Talkを思い出さずにはいられない。”Foolish Heart”、好きだったな。オーケストレイションにデヴィッド・キャンベル御大が参加していたり、ブッカーTジョーンズやネイザン・イースト参加曲も。ビートルズ、ジョージの”I Need You”のカバーもあって。ベースはピノ・パラディーノ。バラードにアレンジしていて、センスが良い。邦盤も流石に出ていて2曲のボーナス・トラック。ただ、ターゲットの独占エディションは5曲のボーナス入りということで、送料共に安いロシアから注文した次第。

最近1988年リリースのジャーニー『Greatest Hits』アメリカ盤オリジナルLPも入手していたところ。こちらもボブ・ラドウィグのデジタル・リマスター済で、CDではおなじみの盤だけれど、LPの音はまた良かった。

Paul McCartney / Egypt Station (Capitol / 2018)

markrock2018-10-10


先行シングルの一瞬ちょっとダサイ感じの”Come On To Me”辺りの先行シングルをとってきて、「才能が流石に枯渇した」だとか、「前作『NEW』に比べて地味」だとか、好き勝手言っているヒトビトも多いポール・マッカートニーの新作『Egypt Station』。たぶんそう言うお方はYouTubeや試聴止まりでまともに聴いてないんだろうな、とここは言い切ってしまおう。第一誰だと思ってるんですかね。斎藤さんだぞ、っていう感じなわけじゃないですか(笑)。


冗談はそれくらいにして…76歳にして、フレッシュで、良く出来たポップ・アルバムだと思う。しかも16曲、ボーナス入りのデラックス版だと18曲。枯渇したミュージシャンはこんなに曲書けませんので(日本やらブラジルやら、ツアー中に書いた曲も!)。しかも、にわかに一瞬ダサい感は否めなかった”Come On To Me”も、こうしてLPで大音量で聴いておりますと、ヘフナーがブリブリ言っておりまして、ビートルズ直系のポップ・ロックと認識。さらにはマッスル・ショールズ・ホーンズの賑やかしからエレクトリック・シタールまでが入ってくるという遊びゴコロ満載なアレンジで、無茶苦茶良いではありませぬか。スタンダードなバラードの”I Don’t Know”もビートルズの新曲だと見まごうばかりだし、”Happy With You”のようなアコギの3フィンガーによる小品もホワイト・アルバム的であったりもして。”Who Cares”はもはや伝統芸能的なロック。サビはウイングスをちょっと思い出したり。ポールのお父さんの口癖を歌にした”Do It Now”は、父との想い出を振り返るようなノスタルジックな仕上がりだと感じた。

パレスチナ問題を念頭に置いた”People Want Peace”の良くも悪くもひねりのないまっ直ぐなメッセージもポールらしい。ジョンと対照的に素直な人なのだと思う。組曲的な”Despite Repeated Warnings”は環境問題についてのニュースの警句をタネに、過ちを繰り返す愚かな人間に"Yes We Can Do It Now"と呼びかける。これはどう考えても力作。”イチバン”の連呼が強烈な”Back in Brazil”はポールの(いや西洋人の)エキゾティシズムがないまぜになっていると思ったけれど、サウンドは思いのほか若々しい。そして一番今っぽい音に仕上がったのがワンリパブリックのライアン・テダーと共演した”Fuh You”。ただ、これをアルバムのリード・トラックとして初めから押さなかったのは、ポール感が薄いからかも。売れる音ながら、ポールじゃなくても出来る音だったという。でもこういう曲が1曲入っているのも重要。ちなみにこの曲以外、基本的に全編のプロデュースを務めるのはグレッグ・カースティン。この人、リトル・フィートの故ローウェル・ジョージの娘、イナラ・ジョージとザ・バード&・ザ・ビーを組んでいた人。ザ・バード&・ザ・ビーは当時アルバム買ってよく聴いてました。気付けばアデル、ピンク、シア(Sia)なんかのプロデューサーとして有名になっている。

それにしてもデラックス版のLPはちょい高(輸入盤でも4500円くらい)で、2曲少ない2枚組通常盤が輸入盤で3500円くらい。後者を買ったのは正直完全なミス。いいんです、いずれCDで買い直しますから。ちなみにLPの音は良く、プレスもしっかりしていた。当たり前だけれど、デカイ音で、それなりなスピーカーでドカンと聴かなきゃこうした音楽は意味ないですね。YouTubeでチマチマ聴いてちゃダメですわ。ポールの書いた明るいジャケもなかなかよい。ジョージ・ハリスン『ゴーン・トロッポ』的にも思えたり。エジプト・ステーション、というタイトルはちょっと唐突だったけれど、エキゾチックな感じや未知のウキウキ感とつながるイメージだったのかな。もちろん来日『Freshen Up』公演、金欠になっても行かざるを得ません!

AC/DC / Rock Or Bust ( Sony / 2014 )

markrock2014-12-23


ロックするか、ぶっつぶれるか!(『Rock Or Bust』)また最高のタイトルで奴らがやって参りました。解説はセーソクさんこと伊藤政則氏。こーいうものは日本盤を入手。初回限定のホログラム・ジャケというやつが面白い。バンド・ロゴが粉砕されるという演出付きで。しかも、計算済みであろうジャスト35分00秒の11曲。セーソクさんも流石慧眼と思ったけれど、指摘してました。アナログ時代を念頭に置いた作品であるということ。確かに最近のアルバムは冗長で長すぎる。聴き続けて、物足りないなと思うくらいの長さが、また聴こう、に繋がるのかもしれない。そう言う意味では長くて3分41秒、短くて2分42秒、というこのアルバムの楽曲は実に潔い。レーベルも黒字に金文字の旧い12インチ風で。

ハード・ロック / メタルやプログレの世界って、女人禁制の会員制クラブみたいな所があって、どうもそういう雰囲気は好きになれないけれど、近年のAC/DCは普通のロック・ファンにもっと聴かれて良いのになと思ったりする。ストーンズとほとんど同じ、ノリを楽しむ良い意味の金太郎飴ロック。最近このノリがなぜか涙腺を刺激する。私自身、真に開眼したのは恥ずかしながら2008年の前作『Black Ice(悪魔の氷)』だったわけで。それまではモンスター・アルバム『Back In Black』は当然聴いてるけど、程度の。それが、前作『Black Ice(悪魔の氷)』の冒頭”Rock N Roll Train(暴走列車)”を聴いたとき、アタマに雷が落ちたくらいの衝撃がありまして。再ブームを巻き起こしたのも判るポップさ。それから狂ったようにアルバム遡って全部聴きました。大好きなイージービーツのヴァンダ・ヤングかいな、っていう、そしてジョン・ポール・ヤングもだったんかいな、という初歩的な気付きもありました。そして2011年リリースのDVD『Live At River Plate』を観て…これ、贔屓目抜きで今までみた音楽DVDの中で一番凄かった。だって、渦のような南米の熱狂的な群衆で会場が「揺れて」るんですよ。物理的に。それがちゃんとわかる。シンプルな、時に技巧的なアンガス・ヤングのギターリフだけで音が立ち上がって観客もろともロックする。ロック音楽の神髄はここにあるんだな、という。何故だか涙が止まらなくなって。ストーンズなんかの生演奏でもそのフィーリングが伝わるんだけれど、なかなかこんなバンドはありそうで、ない。日本のロックバンドも色々生で観たけれど、こういう感覚を味わったことはまだない。もったりしたノリなんだけど、腰が動く、という。でも、ファシズムみたいな一律的なヘッドバンキングや手を振りかざしての一斉動作にはならない、という。


今作は前作ほどのキラーがあるか、と言えばそこまでのものはないけれど、伝統芸能か、と言うくらいのお家芸全開で、米メジャーリーグポストシーズンのテーマに選ばれたという2曲目”Playball”に続く3曲目”Rock The Blues Away”でまたもや涙が止まらなくなってしまった。もはや涙腺制御不能、意味不明ですね。感情の趣くままに。前作に引き続くブレンダン・オブライエンのプロデュース・ワークも良い。ハード・ロック・ファンだけに聴かせない、危険な匂いに偏らない骨太なアメリカン・ロックの王道感を打ち出している。何よりブライアン・ジョンソンの歌いっぷりが好きなんだと思う。ボン・スコット時代より好き、なんて言ったら流石に筋金入りのファンに怒られるかな。でも、ガニ股で、もはやカッコイイとは言い難いオッサン67歳が声振り絞ってハイトーン出すわけですよ。胸が打ち震えない訳がない。来年でバンドはデビュー42年。ブライアンはジョーディーでデビューしたのが1972年ということですから来年で芸歴43年…。

9月にはまさかの認知症…によるマルコム・ヤングの離脱もありました。内ジャケにはアンガスのギターと寄り添うマルコムのギターが…切なすぎる。ただかつてマルコムの代役を務めた一族スティーヴィー・ヤングが再び代役に収まった。と思ったら今度は11月にドラマーのフィル・ラッドが殺人に関与して逮捕、なんてニュースもあって。ニュー・アルバムの気の利いたプロモーションかと勘違いしたけれど、実際プロモーションはフィル抜きで行われて、シャレになっていない出来事だと理解した次第。人生山あり谷ありか…ロックするか?それともぶっつぶれるか?

Bryan Adams / Tracks Of My Tears ( Bad Records / 2014 )

markrock2014-12-13


もう12月半ばですか!早いとしかいいようがないです。ジョン・レノンの命日も過ぎ。唐突にブライアン・アダムスの新譜を。ブライアン・アダムス、大好きだった。最近聴いていなかったけれど。10年くらい前に武道館来日公演も行きました。当時もはや若くはなかったはずなのだが、白い「つなぎ」で登場しましてね。トリオ編成のロックバンドだったかな。シンプルなロックンロールのすごみを感じられて感動したのを覚えている。



70年代ブリティッシュ・ロックを思わせるスタイリッシュなジャケ写(ヴァンクーバー時代の16歳のブライアン本人!)がいいでしょ。写真集のようなブックレットを開くと、スリーブ付きのシングル盤で楽曲が紹介されていて、センスが良い。Capitol、Dot、CBS…とか、アナログ好きがニヤリとするような色んなレーベルを模したデザインになっていて、見ているだけで楽しい。あの時代、への鎮魂みたいな雰囲気も感じつつ。11曲で本編が終わるけれど、私の買った輸入盤だと5曲のアウトテイクのボーナスが付いていた(日本盤にはさらにもう1曲、エヴァリー・ブラザーズのカバーが入っている模様)。昨今のカバーものの流れを汲んでいて、ブライアンが影響を受けた楽曲を彼なりに料理した作品。「知らない曲があったらオリジナルを聴いて、僕の解釈を楽しんで欲しい」なんてブライアン自身のコメントがライナーにあった。AMラジオから流れる”Born To be Wild”(Steppenwolf)、”Killer Queen”(Queen)、”Mississippi Queen”(Mountain)…なーんて楽曲に胸躍らせる生粋のラジオ少年だったみたい。でも今回の選曲でディープ・パープル、レッド・ツェッペリンバッド・カンパニーアリス・クーパー…なんていうハード・ロック路線に走らなかったのはプロデューサーの判断があったみたい。そのプロデューサーというのが、同郷カナダ出身のデヴィッド・フォスターとブライアン自身(3曲はボブ・ロックとブライアン)。いやこりゃびっくりですね。デヴィッド・フォスター、最近ではボンボン息子の乱行が日本のバラエティ番組でも取り上げられるくらいのネタ提供セレブ化してますが、ちゃんと良い仕事をしていて。ソウルの名曲をキレイ目にカバーした2作+ライブが印象的だったシールとか、マイケル・ブーブレの諸作とも同様、安定したポピュラー・ボーカル盤としても聴けるかな。ちなみに最近、誰も買おうとしないような50〜60年代のゴージャスなポピュラー・ボーカル盤をせっせと集めているんだけれど、デヴィッドが目指してきた王道感ってのはこの辺りが念頭にあるのかもしれないなと思ったり。



こうして聴くとブライアンのしゃがれ声がやはり印象的で存在感がある。カバー盤を聴いていると誰のCDを聴いていたか忘れちゃうことが時としてあるけれど、そんなことはない。冒頭ビートルズの”Anytime At All”(これまたジャストな選曲で…)なんて往年のブライアン節の突っぱしるギター・ロックなアレンジで。



ジム・ヴァランスとの共作”She Knows Me”もブライアンらしい、フォーク・ロック風味の新曲。自身の楽曲はこんなミュージシャンの影響でできたものなんです、という証明かな。ドン・ギブソンというかレイ・チャールズ版が有名な”I Can’t Stop Loving You”、ディランの”Lay Lady Lay”、 CCRの”Down On The Corner”にチャック・ベリービートルズ)の”Rock And Roll Music”はバラード、ミディアム、ロックン・ロールというブライアン節の直球。さらにマンハッタンズの”Kiss And Say Goodbye”みたいな隠し球もあり。”The Tracks Of My Tears”は色んなカバーがあるけれど、個人的にもスモーキー・ロビンソンで一番好きな曲だから嬉しかった。本作のタイトルはこれをもじって『Tracks Of My Years』なんてのも気が利いている。そして、日本人にも受けたブライアンの歌謡性(ライナーには日本のファンとの近年の交流も記されていた)はボビー・ヘブの”Sunny”やアソシエイション”Never My Love”のカバーで理解できたような。いずれにせよ60年代ロックにどっぷり、なブライアン少年だったんでしょうな…



ラストはブライアン繋がり、か知りませんが”God Only Knows”を。基本デヴィッドのピアノ弾き語りで。グッと来ましたね…クリス・クリストオファスンやエディ・コクランジミー・クリフなどを取り上げたボーナスも、簡素なアンプラグド・セッションみたいな感じで聴き物。違和感なく収録された”You’ve Been A Friend To Me”は2009年リリース楽曲セルフ・カバー。



代表作『Reckless』の30周年記念デラックス・エディション4枚組なんてのも出ている。たぶん結構良いんだろうけれど、この類は最近消化不良を起こしそうになってしまう(実際今年入手したボックス系は飽和状態でとても聴ききれない!)。筋金入りのファンの方は必携かと。

Heartsfield

markrock2013-03-27

/ Foolish Pleasures ( Mercury / 1975 )


ドゥービー・ブラザーズをさらに軽やかにしたようなファンキーなギター・カッティングに導かれる”As I Look Into The Fire”でスタートするハーツフィールドなるバンドの3枚目のLP。分厚いコーラスも決まっている。FDRで購入した盤だと記憶している。


決めてはプロデューサーのデヴィッド・ルービンソン。サンフランシスコのロックの顔役というイメージがあるプロデューサー/エンジニア。もっと重たいロックかと思っていたけれど、実に爽やかな印象のある西海岸ロック盤だった。ミスティでアクースティックな”Magic Mood”やイーグルスみたいな”Nashville”なんてウェスト・コーストのカントリー・ロックやSSWのファンにもアピールするでしょう。中心メンバーはギター、マンドリンバンジョーフィドルを操るJ.C. Hartsfield(バンド名はちょっと綴りが違う)とギター・ボーカルのPerry Cordell Jordan。間奏でプログレッシブな演奏を展開する曲もあり、その実力が窺い知れる。


2000年代にはオリジナル・メンバーのFred Dobbsを中心に再結成し、現在までに計11枚のアルバムをリリースし、今もツアーを続けているとのこと。生粋のライブ・バンドだったのだろう。

http://www.heartsfield.com/

 Rainbow Cottage

markrock2011-08-02

/ Same ( amr / 1976 )

昨日は制作中のミニアルバムのうち、2曲の歌入れレコーディングでした。よしだたくろう海援隊、古井戸、ケメ、泉谷しげるらを輩出したエレック・レコードという70年代のインディ・レーベルはURCと共に私の憧れでもありました。んで、ケメさんがいたピピ&コットのリーダーだった金谷あつしさんが経営するお店「風に吹かれて」ってのが大森にありまして。響きが良いウッディなそのお店でのレコーディング。2曲のアレンジはこれまたエレックレコード出身、元“竜とかおる”の佐藤龍一さんにお願いした。素敵なブルースハープも入れてもらいました。エンジニアは敬愛する元古井戸の加奈崎芳太郎さんをはじめ、多くのフォーク・歌謡曲のアーティストを手がけた石崎信郎さん。私なりの洋邦フォーク・ミュージックへのオマージュといった作品になればと思っています。プロデューサーは金谷さんということでアルバムは6曲入る予定。9月ごろには完成させたいもの。


さて、本日の1枚はレインボー・コテージのファースト。まあ普通に耳にするアルバムではないかもしれない。エアー・メイル・レコーディングスの紙ジャケ再発、ラリー・ペイジ・コレクションの仲の1枚。ラリー・ペイジは、キンクスを見出し、トロッグスのヒットを支えたという裏方だ。


イギリスものは、アメリカに比べると好んで聴いているとも言えないけれど、ウェスト・コーストロックへの憧れを載せたサウンドという帯の文句に惹かれて購入。直球すぎるけれど、イーグルスのファーストに入っている”Take It Easy”をカバーしてるってんだから、聴いてみないわけには行かないでしょう。


ということで流してみると、確かにアクースティックギターを貴重にしたカントリー・ロックサウンドで、コーラスもウェストコースト・ロックのそれだ。ただ個人的にはイーグルスというより、”名前のない馬”で知られる、これまたイギリスのグループ、アメリカに近いものを感じた(先月のダン・ピークの訃報はショック…!アメリカの40周年の新譜には、繋がりのあるジミー・ウェッブのカバー、”Crying In My Sleep”が含まれているようだ。)



イーグルスの”Take It Easy”の他には、70年代初頭、シャドウズ出身ながらCS&Nを模したサウンドを披露してくれたマーヴィン、ウェルチ&ファーラーの”Brownie Kentucky”や、”ビューティフル・サンデー”でお馴染みのダニエル・ブーンの”Play Me Like A Violin”をカバー。それ以外はメンバーのブライン・ギブスがそつない楽曲を提供している。カラッとした、といいたいところだけれど、薄口でイギリスらしい湿った音に感じた。もっともイーグルスのファーストも、グリン・ジョンズが手がけたイギリス録音だけれども。ウェスト・コーストの蒼い空なんてのは、ある種の創造の産物なのかもしれない。


いずれにせよ爽快なポップ・カントリー・ロック盤。

 The Bird And The Bee

markrock2011-01-10

/ Interpreting The Masters Volume 1 : A Tribute To Daryl Hall And John Oates ( Blue Note 2010 )


去年出たザ・バード&ザ・ビーの盤。故ローウェル・ジョージの娘イナラ・ジョージとグレッグ・カースティンからなるデュオ、って説明しなくてもそれなりに知られてきている。


オールド・ロック・ファンにとっては2世というだけで気になるところだけれど、さらに、ヴァン・ダイク・パークスやジャクスン・ブラウンと共演したりと、イナラの活動にはロックが生み出してきたある種の遺産を大切にしようとする姿勢が見て取れる。だって、有名人の子供でも、そういう古い連中とは付き合いたくないってタイプもいるわけだから。


それで、今回はダリル・ホール&ジョン・オーツのトリビュート作を作ってしまった。フィリー・ソウル色の濃い初期のホール&オーツというよりも、エイティーズに”Kiss On My List”なんかでバカ売れしたエレクトロ・ポップな彼らを蘇らせた感じ。絶妙なソウル・フィーリングと良くできたメロディのブレンドに改めて触れると、ホール&オーツがソングライターとして優秀だったと言わざるを得ないだろう。


ビージーズの”How Deep Is Your Love”のカバーなんてのは以前演っていたけれど、ここまで直球な作もまた良いもので。しかも1曲目にオリジナルの”Heard It On The Radio”っていうこれまた“あの”時代のホール&オーツの甘酸っぱさを蘇らせたモノ。作り手としては、絶対作ってみたい作品だろう。ホール&オーツと同化できたようなそんな満足感に包まれているのではなかろうか。ちなみに本作のジャケは『Private Eyes』(1981)を借用、曲目はベスト盤『Rock’n Soul Part1(フロム・A・トゥ・ONE)』を元にしている。


楽曲不足でカバー流行りなのは別に日本に限ったことではないけれど、ホンモノが自分たちの音で再構成するカバー盤、これってタイトルにもある通りInterpretation、つまり解釈という領域なんだと思う。スキマのある音がとても良い。そう思うと、訳のワカラン女性シンガーに90〜00年代のメガヒットを歌わせるだけってのは芸がないよね。