*[日本のフォーク・ロック] ザ・バッド・ボーイズ / 僕と踊ろう アイツのせい(東芝 / 1975)
2週間ほど前ですか、6月12日にレコードストアデイがありまして。これは店舗限定発売のレアなレコードを求めて、世界のヴァイナルジャンキー達が狙いのブツだけを持ち去る(笑)という功罪が指摘されているイベント。それでも、レコードのお祭りとして悪くないと思っているところ。ただ、限定発売のレコードに毎回あまり欲しいものがない、というところもある。リストを見ても毎年全くピンと来ないのはなぜだろう。90年代モノとかで、こんなの出したら即買いするのに、というアナログはゴマンとあるのに。
それでも今年、生まれて初めて「欲しい!」と思えたものがあった。日本のビートルズ・コピー・バンドの最高峰ザ・バッド・ボーイズのシングルオンリー「僕と踊ろう/アイツのせい」。コレ、オリジナルのシングルは高いんですよね…CD化された際に、吉田拓郎提供の「ビートルズが教えてくれた/チークを踊ろう」と共にオリジナル・アルバムがCD化された際にボーナス収録されたのを皮切りに、クリンク・レコードの和製パワーポップの見事なコンピレーション『スウィーター! ルーツ・オブ・ジャパニーズ・パワーポップ 1971-1986』にも収められていた。
ザ・バッド・ボーイズはジョン役のファン・リック・ヨーナムこと廣田龍人、後にオフコースに加入するポール役のベース清水仁、ジョージ役の川端孝博、リンゴ役の城間正博(大間ジローの代役でオフコースに参加したことも)の4人組。とにかくビートルズと同じ音が出せるグループってことで、東芝EMIより『MEET THE BAD BOYS』でデビュー(日本で初めて発売されたビートルズのアルバム『ビートルズ!』の完コピ)。ジャケが最高ですね。東京ビートルズとは比べ物にならない完成度。
“僕と踊ろう”は日本のジョン・レノン廣田龍人のロッキンなボーカルが熱い初期ビートルズな楽曲。そして”アイツのせい”は小田和正作曲のマージー・ビート・オマージュな流石の素晴らしいポップス。「12弦ギター提供:かまやつひろし」とのクレジットもある。小田さんセルフカバーしてくれないかな。清水仁のオフコースへの加入を予感させるものもある。ところで吉田拓郎も後に清水をバンドメンバーに迎えているけれど、日本のフォーク勢が欲しがったのはビートルズのリズム隊だったということ。
ちなみに廣田は(リッキー&)リボルバー名義で諸作を残している。ちなみにややこしいけれど、ジョン&ポールの提供曲を初期ビートルズ・テイストでカバーしたRevolverとは別バンドですので、悪しからず。ちなみに、サザンオールスターズや小泉今日子、Mr.Children、レミオロメン、一青窈などのプロデュース、MY LITTLE LOVERのメンバーとしても活躍した小林武史(下写真の左側)がデビューしたバンドが、リッキー&リボルバーだった。日本のJ-POPがビートルズをはじめとした洋楽のコピーを初期衝動としていたことの証左となる。